投稿日:2019年05月14日

【札幌 弁護士コラム】家族信託における信託口口座の問題

昨日は朝から東京出張でした。

午後から、家族信託関係の意見交換、営業代行事業の打ち合わせ、家族信託に関するご相談、夜は交流会といったスケジュールでした。

今日は、朝から青島出張となっており、明後日の夜に札幌に戻る予定です。

 

さて、家族信託関係の意見交換については、金融機関業務に詳しい元金融庁関係の方とお話をさせていただきました。

最近の家族信託関係の1つの大きな課題となっているのが、信託口口座の開設です。

 

信託口口座というのは、家族信託を設定した場合に、委託者の預貯金を保管するために受託者名義で作成する口座を言います。

この口座は通常の口座とはやや異なり、受託者が名義人となりますが、受益者が真の権利者となる関係で、倒産隔離機能といった機能が必要となります。

(やや専門的な話になりますのでここでは説明を割愛しますか、普通の預金口座とは異なるという事だけお含みおきください。)

 

そういった口座であることから、どこの金融機関でも作れるというものではなく、現在作れる金融機関は極めて限られています。

このため、案件によっては信託口口座が開設できないことがネックとなり、うまく進まないという事も起こっています。

 

こういった課題があるため、信託口口座を開設してもらうためにはどうすれば解決できるかをご相談させていただきました。

金融機関サイドとしては、現在、収益性が厳しい状況にあり、コスト削減を重視しているという情報をえました。

この点、家族信託における信託口口座の開設というのは、コストがかかる反面、収益性に乏しいのではないかということが指摘されています。

確かに、この意味でいうとすれば、信託口口座を開設したとしても、金融機関としては特に手数料を受け取れるものではなく、収益性の改善に資するものではありません。

 

それではどうするのかという部分ですが、解決策としては3つしかないのではないかと考えられます。

それというのは、①口座維持手数料を課金する、②別商品との抱き合わせで販売する、③ CSRの観点から社会的問題への対応として対応してもらう、というような事しかないのではないでしょうか。

 

しかしながら、いずれの方法についてもそれなりのハードルはあるものと考えられます。

家族信託の課題はこれから解決されるべきものも多く存在しますが、こういった問題意識を持って取り組んでいくことにより一歩ずつ解決が進んでいくことを願っております。