企業法務を行っていて最も多い問題が労働問題です。
労働問題というのは、人間の感情が絡んでくる部分があるため難しい部分もありますが、何度も労働問題が勃発する会社というのは、やはり仕組みに問題があるのではないかと考えられます。
もちろん、偶発的な問題や、個別具体性の強い問題というのもあるでしょうが、複数回の問題が起こるという根本原因としては、起こった問題を次の機会に向けての改善に繋げられない、という問題が存在するからではないかと考えられます。
近い例としては、人の免疫機能が挙げられます。
麻疹や風疹といった病気であれば、いちどかかかって治癒してしまえば、基本的には抗体ができ、二度と同じ病気にはかからないとされています。
このような抗体ができるのか、できないのか、ということが同じ問題が起こるかどうかを分けます。
その意味で言えば、同じ問題が続発するような企業というのは、いわば免疫不全状態に陥っている、と表現しても間違いではないでしょう。
免疫不全、という言葉が言い過ぎだとすれば、改善のための仕組みができていない、という言葉が当てはまります。
労働問題というとある程度の幅はありますが、多くの会社が直面している問題というのは、残業代問題と解雇に関する問題に集約されるものと思われます。
その意味でいうと、実は対策の幅というのは非常に狭くて良いはずであり、一度起こった問題を二度目に起こさない、もしくは二度目に起こった問題を三度目に起こさない、といったような気構えを持って事に対処すれば、おのずと続発することはなくなってくるはずです。
起こった問題に対していかに再発防止をするか、ということは改善や成長の根本的な原則であると言えるのではないでしょうか。