今日は株式会社つなぐ相続アドバイザーズの打ち合わせ、裁判の期日、夜は社労士さんとの会食の予定が入っています。
今日も全力で駆け抜けたいと思います。
さて先日ある会社からご相談をいただいたのですが、その内容が突然、従業員がやめてしまったのでどうしようかというものでした。
この会社からのご相談は、その元従業員に対して損害賠償請求ができるかというものでした。
また、この会社ではそのようなことが度々起こっているというお話も頂きました。
それに対する私の回答としては、売り上げの減少、経費の増大などが立証できるとすれば、その金額が損害賠償請求できる可能性がある、というものでした。
但し、実際に請求した場合に強制執行まで可能かどうか、という点については留保され、実際の場合にはとりっぱぐれることが多い、というアドバイスもしました。
それで終わってしまうのが弁護士としてはある意味、普通なのですが、私はこの問題に関してさらに突っ込んだ質問を行いました。
それというのはなぜ従業員が無断で辞めてしまうのか、またそれがなぜ繰り返されるのか、という部分についてです。
それというのも、今回の事案だとについて対応したとしても、同様の事案はこれからも発生する可能性があるのであり、根本的な原因究明、根本的な原因の除去を行わなければならないと考えたためです。
この問いに対しこの会社の社長さんは、なぜそういうことに至ったのかわからない、という答えをされました。
続いて、労務管理を担当されているマネージャーの方は、直接その従業員からの話を聞いた、とおっしゃっていましたが、私から本当の意味での理由というのはお分かりになりますか、と訊くと、結局のところよくわからないという回答に至りました。
すなわち、この会社の最初のオーダーとしては、個別的な事案の解決、いうなれば事案処理に終始するものでしたが、その部分を深掘りしていくと、結局、原因のわからないものに関してソリューションを求められていた、ということになります。
ここを掘り下げていくと、結局は従業員それぞれに対する人間観察の問題であることがわかってきました。
労務管理において誤解されがちなのは、従業員というのは賃金によってコントロールできるという人間観があることです。
私の知る限り、現代の労働者観としては、単に賃金のみによって動くものではなく、労働者における価値観は対応して多様化しており、かつ不満の種というのはそこかしこにあるというものです。
このような人間観を前提とすると、金太郎飴方式のような労務管理が必ずしも是とするものではない時代が来ているといえます。
このため私は、今回の問題を人間観察後の問題と定義しましたが、そうであるとすると解決はそれほど単純な話ではありません。
それというのも会社という組織でやっている上、どうしても誰が担当するのか、という部分に解決が依存しており、仕組み化が必ずしも容易ではないと考えられるからです。
仮に、このマネージャーの方が全従業員を面談して回るとしてもその労力は大変なものですし、その上で従業員の本当の考え方を必ず見抜けるという保証は無いですし、さらにこのマネージャーの方が経営者に対して報告することも容易なことではありません。
結局のところ完全なソリューションは提供できたとはいえませんが、ソリューションを見つける糸口としては示唆をお渡しできたのではないかと思っております。
このように労務管理の問題というのは、必ずしも単純化できるものではないという部分をはらんでいます。
このことから、労務管理に携わる専門家としても、個別具体的な内容に踏み込んだアドバイスが必要です。
しかし、そのような観点で見てみると、現在の専門家の対応状況は必ずしも十全のものとは言えません。
このような認識が私の労務管理プロジェクトを立ち上げた1つの背景となっています。
1社でも多くの会社様にこのような現状をご理解頂ければと、願ってやまない次第です。