私も仕ことをしていて時折あるのですが、法律と常識的な感覚が違うということが時折言われます。
果たしてこれはどこにその原因があるのか、ということなんですが、法律はあくまでも専門的な技術として捉えられるかどうかという点にあるのではないでしょうか。
似たような話として、「機械は冷たい」であったり、「行政は個別的な対応をしてくれない」であったり、「医者が親身になってみてくれない」であったり、そういったことも近い部分があるのではないかと思います。
共通して言えることは、何らかの専門技術的な領域があるのと、一般的な感覚との差が発生しているということです。
専門技術的領域というのは、正しく理論だった世界であり、当然に単なる常識を超えた高度な知識や技術が盛り込まれているものです。
すなわち、専門家でしか知ることのできない領域があるということができます。
それ故、一般的な常識としての解決と専門技術的領域としての解決はおのずから異なってくるものであり、それ自体は当然のことであると考えられます。
しかし、ここで専門家にとって大切なことは、このような差異があることを認識し、一般的な感覚を持っている方に専門技術領域のことについて十分な理解を得ようとする姿勢です。
これがないと専門家と一般人である顧客との間でトラブルになりかねません。
例えば、弁護士として相談を受ける身として、一般的な感覚では自分が正しいと思っているが法律的に見ると相手に分があるといった相談を受けたとしましょう。
この場合、弁護士として「相手が正しいですよ。」というだけでは仕事の半分しかやっていないことになります。
相談者の要望に応えられるかどうかは法律的には相手が正しいとの判断を前提として、いかに相談者の納得が得られるような説明ができるかにかかっています。
その大前提としては、相談者の感情に寄り添うという姿勢がまず必要になってきます。
そこの部分をおろそかにして専門家としての業務は成り立ちません。
専門家としては専門技術的領域について正しい判断を下し正しい対応を行うことは大前提ですが、もう一つの重要な役割としては、一般的な感覚に対し納得のいくような専門技術的領域の説明を行うことです。
専門家としてはこの点は常々肝に銘じておかなければならないことではないかと思った次第です。