投稿日:2018年09月30日

【札幌 弁護士コラム】中小零細は「寄せ集め感」に限る

珍しく今日は写真付きです(笑)。

今朝、ひょんなことで知った舞台挨拶付きの「カメラを止めるな」上映会に行って参りました。
写真は(右から)そのときの上田監督、助監督役の市原さん、AD役の吉田さん、プロデューサーの市橋さんです。

この映画は一度みたことがあり、その時の感想も本ブログで書いていましたが、今回はそれに勝る感激がありました。

<不可能に挑戦するということ:「カメラを止めるな!」を観て>
http://answerz-law.com/%E7%B5%8C%E5%96%B6%E7%9B%B8%E8%AB%87%E3%83%BB%E5%86%85%E9%83%A8%E7%AE%A1%E7%90%86/post-3872

いくつかポイントはあるのですが(気が向いたら後日書きます。)、監督が仰っていたのは集めたキャストが「今一つ華のない人ばかり」であり、「どこかポンコツ」な人ばかりを寄せ集めたものであったのだそう。
確かにこの映画では誰一人、一線級で活躍している役者さんはいませんでしたし、強力なスポンサーがいるわけでもありません。
それでもインディーズ映画にしては空前の大ヒットを更新し続けているこの映画の人気の秘訣は、間違いなく「今一つ華のない人ばかり」であり、「どこかポンコツ」な人が集まっていることにあるのではないでしょうか。
これは古い言い方をすると「判官びいき」に表されるでしょうし、「友情・努力・勝利」という少年ジャンプのキャッチフレーズにも表されているように、地位を持っていない人が活躍することを人はどこかで願っているという心理があるものです。

但し、当然のことではありますが、「今一つ華のない人ばかり」であり、「どこかポンコツ」な人を単に集めるだけではいい作品ができるわけではありません(というかろくな作品はできません。)。
このため、上田監督は何度もワークショップを開き、各役者のキャラクターを完全に理解することから始めたそうです。
そしてそのキャラクターを全面的に活かすために脚本を書き、キャラクターそのものが当てはまるような構成を作り出していきました。
そうであるからこそ、「今一つ華のない人ばかり」であり、「どこかポンコツ」な人、それぞれが存分に個性を発揮できる映画となり、素のキャラクターの躍動感が伝わる作品に仕上がったのだと言えます。

この話を聞いていて全く同じだと思ったのは、中小零細企業の経営です。
中小零細企業には金もなく、優秀な人材もおらず、利益率の高い商材も存在しないのが通常です。
そのような中で何ができるかというと「今一つ華のない人ばかり」であり、「どこかポンコツ」な人をうまく活用していくことしかないはずです。
このような人を寄せ集め、いかにその力を引き出していくのかが経営者の課題となるのです。
このことは当然、苦労を伴いますし、成功確率は高くないかもしれません。
しかし、その寄せ集めの技法は中小零細企業でしか取れませんし、場合によっては大企業には実現できない「カメラを止めるな」級の大ヒットの要素を秘めているものです。

「寄せ集め」感漂う企業努力によって道を切り開いて行く。
このような感覚が中小零細企業には必要なのではないでしょうか。