投稿日:2018年02月25日

【札幌 弁護士コラム】認知症で家族信託ができるかの判定とは

最近では一般の家庭でも家族信託を検討されるケースが増えてきております。

その中で多いのが自宅の売却を可能にするために家族信託を設定しておくパターンです。

しかし、自宅をお持ちの方が元気なうちに自主的に進められるというケースは少なく、多いのはある程度認知症の症状が進んできてからご家族が心配になって相談に来られるケースです。

認知症がどの程度の段階であれば家族信託が進められるのでしょうか。

 

この前提として、家族信託を設定するということは、本人(委託者)と預かる人(受託者)の間で信託契約を結ぶということです。

ここで契約を結ぶためには、契約の内容を理解し、契約を結ぶという意思表示を行う必要がありますが、認知症等によって判断能力(意思能力)がなくなったと判断された場合には契約が無効となってしまいます。

このため、意思能力がどの段階まで認められるのかが重要になります。

 

意思能力の有無については、裁判上、遺言の有効性の議論として持ち出されることが度々あります。

裁判例での判断枠組みとしては、医師の診断書や認知症テストの結果等の医学的見地を踏まえたうえで、本人の日常の行動がどうだったか、遺言を書いたときの状況がどうだったか、遺言の内容が本人の意思に従ったものといえるか、筆跡はどうか、他人の指示に従っただけかどうかといった個別具体的な判断がなされています。

ここで重要なのは医学的見地はあくまでも補助的な要素であり、最終的な意思能力の判断は法律的見地によるということです。

ですので、主治医から認知症であると診断されたからといって100%家族信託ができないというものではありません。

 

私のほうで家族信託ができるかどうかを判断する場合にはご本人にお会いして、名前、住所、生年月日、保有している財産の概要が答えられるかをお聞きします。

そのうえで財産をどのようにしたいか(家族信託を進めたいか)を確認することとしています。

そのうえで家族信託を進めるかどうかについては、最終的には紛争の火種にならないかどうかという視点を交えて判断します。

紛争の火種というのは、仮に家族信託の契約が無効となった場合に不平不満を持つ人がいるかどうかという、ある意味では政策的な判断になります。

これは紛争になれば最終的な家族信託の契約の有効性は裁判所が判断することになるものの、契約締結の段階では裁判所が何というか確実には予測できないためです。

 

いずれにしても家族信託を進めるのであれば認知症の進行が疑われる前に専門家にご相談頂くことをお勧めしています。

 

 

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