みなさんご存知だとは思いますが、ヤドカリという生き物は家主のいなくなった巻貝の貝殻に入って生息しています。
ヤドカリが成長するに従って、入っている貝殻が徐々に狭くなっていくため、新しい(大きい)貝殻を探しそちらに引っ越すということを繰り返しています。
実は、このことは人の成長に関しても重要なヒントになっているのです。
最近つくづく思うのですが、人が変わるということは容易なことではありません。
物理の用語で慣性の法則というものがありますが、これは動いているものは動き続ける、止まっているものは止まり続けるという法則をいいます。
これと同じように人も動くことが習慣になっている人は放っておいても動き続けますが、止まっている人が動こうとする(止まっている人を動かそうとする)ことには大変な労力が必要になります。
しかも動いている人よりも止まっている人の割合のほうが圧倒的に高いという現実もあります。
その原因の一つと思われることが「人は環境に引きずられて生活し、人は既存の環境に依存しようとするから」ということです。
例えば、日本の社会で長らくもてはやされてきたのが終身雇用制度ですが、これは環境を変えないことを価値とする最たるものといえます。
もちろん変えてはならない部分があることは理解できますが、環境を変えなければそれ以上の成長を望めないということも言えます。
ヤドカリは成長するにしたがって当然のように住処を変えます。
しかし、人間は成長しても当然には環境を変えようとしません。
これではいくら成長を望んでも、いま住んでいる貝殻のサイズ以上には成長できないことになってしまいます。
大きな目標を持っているのであれば、既存の環境を捨てて新しい環境に飛び込むことを恐れてはならない。
そのようなことを思った次第です。