投稿日:2018年02月06日

【札幌 弁護士コラム】後になって違法性や不当性を訴える愚

一般の方からすると誤解のある部分もあると思いますが、訴訟というのは過去にどんな事実があり、それが法的にどのように評価されるかを判断する手続のことをいいます。

よくある誤解が「訴訟(裁判)で真実を明らかにしたい。」という考え方です。

ここで「真実」というのが「裁判所にとっての真実」という意味であるのであればある程度正しいのだと思いますが、当事者としての「真実」は既に過去に存在するのであり、訴訟をやったからといってその「真実」が書き換わるものではありません。

 

しかし、訴訟においては当然、双方の当事者ともに勝ちたいわけですからそれぞれの「真実」に近づけるよう、事実を解釈し、それに見合った証拠を提出することが行われます。

この解釈でよくあるのが「その当時は〇〇と思ってやったが、今となっては××だったと思う。」というものです。

過去の認識は今の認識とは異なっており、今となっては不法、不当であるという論法です。

 

この認識の変化、変容といったものは紛争の原因として一番多いものです。

変化、変容が起こる原因の多くは、問題が起こる前の行動の準備不足に尽きるといっても過言ではありません。

行動を起こす前に法的な整理をしておき、認識を固めておけば後になって認識が変化、変容することもありません。

言い換えれば「想定の範囲を作る」ということもできます。

 

そのように1つ1つのことに準備を行うことが習慣づけられていけば無用な紛争は大きく減らすことができるように思います。