投稿日:2018年01月18日

【札幌 弁護士コラム】法的問題解決に必要なのは「最大化」?「満足化」?

最近読んだ本で書かれていたのですが、ノーベル賞受賞者のハーバート・サイモンは「最大化」と「満足化」という概念を生み出しました。

これというのは「最大化」が無限に存在するものをより多く求めようとすることであるのに対し、「満足化」は自らの心を満たすだけ求めようとすることです(ざっくりとまとめたので多少違っているかもしれません。汗)。

例えば「できるだけお金がたくさんほしい」というのが「最大化」の考え方であるのに対し、「好きなレストランに月1回行けるだけのお金がほしい」というのは「満足化」の考え方であるといえます。

サイモンはこの概念について、「最大化」は人を幸せにするものではないのに対し、「満足化」は人を幸せにする考え方であると結論付けています。

 

このような考え方は、交渉や紛争解決においては非常に大切であると考えられます。

すなわち、いずれの場面においても「できるだけ多く(金銭等が)ほしい」と考えるのが通常ではありますが、相手があることである以上、両者が同じように考えていたのではまとまるはずがありません。

それよりも自らの中で一定の線を引き、「これ以上になれば満足だ」と考えることによってはじめて解決の糸口が見いだせることになります。

もちろん両者の線が相手の線よりも向こう側に引かれている状況では解決しませんが、相手の線がわかれば譲歩をしようという気持ちにもなりやすいものです。

 

私は法律相談を受けるとき、割と早い段階でどこに線を引いているのか、又はどこに線を引くべきであるのかをご質問しています。

これをやらずに「訴訟をやったら勝てると思いますよ!」と言ってしまったり、「かなり多くの金額が取れますよ!」とあおってしまったりすると、相談に来られた方はどこで線を引くべきなのかがわからなくなってしまい、客観的にはいい結果だとしても満足できなくなってしまうようなことも起こり得ます。

 

法的問題の解決においては「最大化」よりも「満足化」を重視することが良い結果をもたらすのではないでしょうか。