投稿日:2017年10月21日

【札幌 弁護士コラム】家族信託とアパート・マンション経営④:家族信託と借入れ

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引き続き家族信託とアパート・マンション経営について解説をしていきます。

今回は家族信託と借入れとの関係についてです。

 

不動産は高価なものであり、アパート・マンションとなると自宅よりもさらに高価になります。

このためそもそも現預金のみで購入又は建設することが困難な部分があり、借入れを行って購入又は建設することが通常です。

一方で、相続税対策のためにあえて借入れを行ってアパート・マンションを入手するということも行われます。

 

このようなことから、アパート・マンションには借入金を被担保債権とする抵当権が設定されていることが往々にしてあります。

抵当権を設定するに際してはアパート・マンションのオーナーと金融機関との間で抵当権設定契約を結びます。

抵当権が設定された物件を処分することが法律上禁止されているわけではありませんが、この抵当権設定契約では通常、所有者による物件の譲渡等は抵当権者の承諾事項とされており、アパート・マンションのオーナーは金融機関に無断で物件を譲渡することはできません。

信託を設定することも所有権の移転を伴うものですので、やはり金融機関の承諾が必要的となります。

 

そして実際に家族信託の設定を計画し、抵当権者である金融機関に対して話を持って行った場合、金融機関の家族信託に対する理解の程度によってその対応は大きく異なります。

家族信託は物件の担保価値に影響を及ぼすことが少ないといえますが、そのことを理解している金融機関であればさほど問題なく承諾が得られるでしょうし、家族信託を扱ったことがない金融機関に話を持って行った場合には交渉が難航することが往々にしてあります。

抵当権の設定されている物件の家族信託の設定の計画にあたっては金融機関から承諾が得られる見通しがあるかどうかの判定も重要な部分となるでしょう。

 

また、一方で抵当権の設定されていない土地を受託者に信託し、受託者において借入れを起こして建設費用と調達するいわゆる「信託内借入れ」というものも行われています。

これは委託者兼受益者の相続税対策のために行われるものであり、委託者兼受益者が高齢であるために融資審査が通らない場合やアパート・マンションの建設計画を進められないことを避けるために受託者側で借入れを進めるものです。

税務上、借入れが相続税の評価に組み入れられるか否かについては議論の余地があるところですが、組み入れられるという考え方が有力なようです(但し、どのようなスキームでも妥当するかは明確ではないため、事案によって慎重な検討が必要です。)。

 

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