投稿日:2017年10月12日

【札幌 弁護士コラム】訴訟の勝敗を分けるものとは

先日、大学のOB会において先輩にあたる弁護士の方から訴訟対応についてお話を聞かせて頂く機会を頂きました。

ベテランの先生らしく、本当の「訴訟のツボ」というものをお聞かせ頂いたように思います。

 

そのお話を受けて、今日は私なりに考えている訴訟の勝敗が分かれるポイントをいくつか挙げてみたいと思います。

 

〇本当に勝てると思ってやっているのか、という問題

「訴訟をやるんだったら当然、みんな勝てると思ってやってるじゃないの。」と思われる方もいらっしゃると思いますが、実際はそうではありません。

勝敗は見えているけれども支払う金銭が用意できないため訴訟に持ち込んで引き延ばそうとする場合や、負けるとしても感情的に許せないため訴訟をやってほしいという場合もあります。

また、あまり確証のある話ではありませんが、ものによっては弁護士が依頼者を無理に焚きつけているような場合もないではありません。

そのような理由で必ずしも勝算がなくとも訴訟に持ち込まれるケースもあります。

 

〇証拠があるのか、という問題

事実関係を整理していくと片方が有利なように思えても、その事実関係を証明する証拠がないという場合があります。

ここでいう証拠とは主に書類になっている証拠という意味です。

証拠は大きくわけて書類での証拠である書証と人を証拠とする人証があります。

このうち、裁判所は多くの場合、書証を重視して考え、補完的に人証を参考にするといった形で判断を行っていると考えられています。

そうであるがゆえに、書証があるかどうかが勝敗の分かれ目になるケースもまま見受けられます。

 

〇裁判所の求めている方向に従って訴訟活動ができるか、という問題

裁判所は「要件事実」というものに従って、その訴訟において問題となっている法律関係の有無を判断します。

要件事実とは、法律上決められている「この事実が認められれば、この法律関係が認められる」という公式のようなものです。

弁護士も当然、要件事実論というものを理解していますが、依頼者が主張したい事実と一致するかというとそうではありません。

要件事実に基づかず、依頼者が主張したい事実ばかりを伝書鳩のように裁判所に主張したとしても裁判所は有利な判決を書くことはありません。

わかっていたとしても依頼者の主張に引っ張られ、裁判所の求める訴訟活動をしていない弁護士というのもそれなりの数は存在するように思います。