今日は夕方まで作業、夕方からつなぐ相続アドバイザーズ打合せ、セミナーという1日でした。
最近は家族信託案件が陸続と入ってきており、忙しくしております。
秋ころには大型のセミナーでも打ちたいと考えております。
さて、メインにしている企業法務のほうでもいろいろとお話を頂いておりますが、先日はある会社での社内研修ということで会社法のお話をしてきました。
中小企業が大企業になっていくにあたって、会社の組織形態を再考しなければならないという部分がありますが、平成26年会社法改正で導入された監査等委員会設置会社について少々言及してみたいと思います。
従来、大企業になるにあたっては、監査役会設置会社と指名委員会等設置会社(旧名称:委員会等設置会社)が認められていました。
これらの2つの形態も十分に有力なものではあるのですが、監査役会設置会社では社外役員の数が多くなってしまうことの問題点が指摘され、指名委員会等設置会社では取締役を社外の委員が指名することに対する抵抗感が示され、より使い勝手のよい形態が求められ、監査等委員会設置会社が導入されるに至りました。
監査等委員会設置会社では、①監査等委員会の過半数が社外取締役、②常勤の監査等委員は不要、③重要な業務執行の決定を業務執行取締役に委任可(一方で取締役会に業務執行の決定権限を残すことも可)、④マネジメント機能とモニタリング機能を融合させたハイブリッド型である、という特徴があります。
要するに、取締役会で重要な意思決定をしなければならないという従来のモデルと、業務執行を行う取締役に権限を委譲するというスピーディーなモデルのいずれにも寄せられるという柔軟な形態であるといえます。
監査等委員会設置会社とするメリットとしては以下のようなものがあります。
・会社の状況に応じ、マネジメントモデルとモニタリングモデルを柔軟に設定できる
・業務執行取締役によるスピーディーな意思決定が可能
・社外役員が最低2人でよい
逆に監査等委員会設置会社のデメリットとしては以下のようなものが挙げられます。
・指名委員会等設置会社よりも委員会の権限が小さいため形骸化するおそれ
・取締役会に監査等委員も関与するため、「自己監査」となるおそれ
監査等委員会設置会社は、それを導入すれば解決というものではなく、意思決定のスピーディーさを求めるモデルにするのか、監督機能を重視するモデルにするのかを選択し、さらにどのような運用を行っていくのかを検討しなければなりません。
監査等委員会設置会社は、柔軟性を持った形態であるという意味で現在のトレンドである「ソフトロー(規制によって縛るという考え方ではなく、指針やガイドライン等によって緩く指導するという法律的な考え方)」によるガバナンスと親和性が高いものといえるでしょう。
投稿日:2017年06月15日