今回はちょっと変わった知的財産権の関係の話題です。
私(荒木)が業務をやっている中で、ちょくちょくご相談を頂くのが、「商標登録ってできる?」という話です。
私が知財関係も取り扱っていると吹いて回っていることもあって、そのようなお話を頂きます。
厳密にいうと弁護士の職務範囲として取り扱っていいのか、という問題はありますが、資格としてやってやれなくはない話です。
基本的に商標登録(の出願)は弁理士さんの仕事なのですが、弁護士は当然に弁理士登録ができるものとされているからです。
しかしながら商標登録にもさまざまなコツというものが存在します。
例えば先日、顧問先から新たに商標登録をしたいとのご相談を頂いたので、知人の弁理士さんをご紹介がてら、打合せに同席させて頂きました。
そこでの弁理士さんとその会社の社長さんとの会話を聞いていると、まさに商標に関するコンサルティングといったような内容で、商標の必要性と費用と効用のバランスを取って、いかに効率的に商標登録を行うかということが主題に上がっていました。
何を商標登録するかという点についてだけでも、デザインにするのか標準文字にするのか、標準文字にするとしてもどの文字にするのか、どの商品に関して適用されるとする区分の範囲はどこまでにするのか、等の問題があることを知り、「ここまで考えるのか!」とその難しさを痛感しました。
一方で、知的財産権に関する弁理士と弁護士の関わり方の違いというのもなかなかわかりづらいところです。
基本的な発想としては、登録申請は弁理士、侵害を受けたなどのトラブルのときは弁護士、という切り分けがありますが、実は登録申請の段階からトラブル対応というのは始まっているのです。
それというのも、知的財産権の権利範囲をどのように設定するか、という問題は、起こってしまったトラブルに対してどの程度の確度で臨む解決が実現するか、ということに深くかかわってくるからです。
権利範囲を広く設定しておけば、何かしらの侵害行為に対して違法であると主張できる可能性は高くなります。
しかし、その反面で、登録に費用を要するため、何もなければ費用倒れということになりかねません。
そのような意味で費用と将来の備えについてのバランスは難しいところであり、実は弁理士と弁護士が登録申請の段階から一緒に関わらなければならない問題であるものと思った次第です。
このような経験から商標登録をお考えの方がいらっしゃれば、是非、弁護士と弁理士を同席させて打合せを行うことをお勧め致します。
投稿日:2017年06月11日