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(本記事は平成29年5月15日分の未投稿記事です。)
私(荒木)が業務状況を伺い、契約書の作成をお勧めしたとき、社長さんからたまに言われるコメントで「あそことうちは長らく仲良くやってきたから契約書はいらないんだよ。」ということがあります。
しかし、この考え方は本当に正しいといえるのでしょうか。
例えば平成26年の地方裁判所での訴訟の既済件数でいえば、全体で14万1000件ほどに上るところ、明らかにそれまで関係性を持っていなかった当事者間における事件といえば交通事故の1万2000件程度のものです(もちろん他にも不法行為として無関係の当事者間の事件は多少あるでしょうが、多数には上っていません。)。
裏を返せば、訴訟の大半はそれまでに何らかの関係性を持っていた当事者間で起こった紛争であるということができます。
なぜ、何らかの関係性(簡単にいえば仲のいい関係)を持っていた間で紛争が生じるのかというのは哲学的な課題を含みますが、おそらくは一方が他方に対して持っている理想像のようなものと相手の実際との間にギャップが生まれてくることが大きな原因ではないかと思われます。
例えば離婚事件などが典型ですが、妻は夫に対して浮気をしないのが当然だと思い、夫は妻に対して家事を完璧にこなすのが当然だと思っているとしたら、それに反する実際の状況が発生すれば「話が違う」と感じ、離婚の意思が芽生えることになります。
また、このギャップを感じることが厄介なのは、いつしか最初の段階で自らの理想像を叶えるのが相手方の義務であるという約束をしていたという錯覚を生むことにあります。
このため口約束をして、後でギャップを感じ始めると「あのときは〇〇するという約束があったはずだ。」と言い始めるということが起こります。
こうなると水掛け論でしかなくなり、他に証拠がないとすれば証明責任(どちらが事実を明らかにしなければならないか、という裁判上の責任)で決着を付けざるをえなくなります。
このような水掛け論を展開することは当事者にとっては負担が大きく、結果を予見できる可能性が低いため、大きなリスクとなりえます。
このことから、さかのぼっていえば、口約束ではなく、契約書をちゃんと作っておきましょう、という話になるわけです。
このようなことは遺言を作らなかったばかりに相続人が財産を奪い合うケース、雇用契約書を作らなかったばかりに残業代で揉めるケース、業務委託契約書を作らなかったばかりに業務委託料の支払いで揉めるケースなど枚挙にいとまがありません。
そしていずれも平時は仲良くやっていた間柄であったはずの当事者間で紛争が起こっているものであることが共通しています。
紛争予防のためには「仲がいいから契約書はいらない」ではなく、「仲がいいからこそ契約書を作っておこう」とする発想が重要なのではないでしょうか。
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