投稿日:2017年04月04日

【札幌 弁護士コラム】意外と見過ごされがち?IT分野における契約書の重要性

今日は朝から案件の締めくくり、新規相談、顧問先訪問、セミナーの打合せと充実した1日でした。

夜は一人で食事をして読書の時間に充てています。

 

さて、私は契約書に関する業務を多く手掛けていますが、最近、意外と盲点になっていると感じているのがIT業界における契約書の重要性です。

IT業界という言い方も乱暴ですが、ここでは何となくインターネットを通じたビジネスを含むビジネスを行っている業界、とでも定義して頂ければと存じます。

 

この業界では、契約において以下のような特徴があります。

 

(1)代理店契約、OEM契約が多い

IT業界では大手企業がインターネットを使って独自に売っている商品が多いようなイメージがありますが、実は意外と大手企業が営業会社を傘下に持ち、さらにその営業会社から地方の小規模営業会社に営業を委託するようなことが行われています。

また、小規模なIT会社が自社ブランドとして大手企業の開発した製品を販売するOEM事業もよく見受けられます。

このため、業界全体では営業のルートが複層化し、多くの会社が販売に関わっていることがよくあります。

 

(2)B to Cモデルの場合には通信販売に該当しやすい

企業が個人顧客に対して直接に商品を販売するときには、直接対面することがほとんどないため、通信販売にカテゴライズされることが多くあります。

この場合には特定商取引法を守る必要があり、そのための取引約款等を整備しておく必要があります。

 

(3)著作権関連の問題が起きやすい

ITを用いた製品はデジタルデータであるプログラムでできているため、複製しやすいという特徴があります。

このため、プログラムを保護する必要がありますが、プログラムにおいて認められる創作性は限定的であるためプログラムを著作権の保護のみで守ることには限界があります。

契約書の規定上は、複製やリバースエンジニアリング等を禁止する条項を入れることがありますが、明確に規定していない場合には著作権法に基づいて主張できることが限定的です。

 

(4)開発を伴う分野では元請け下請け関係が生じ、下請けにしわ寄せがくる

プログラム開発を伴う場合、そのコストは非常に大きくなることがあります。

このため、自社開発よりもアウトソーシングしたほうがコストが下がる場合があります。

そうすると一般的な製造業や建設業と同様に、元請け、下請けという関係性ができあがりました。

これによって独占禁止法において禁止されている「優越的地位の濫用」等の問題が生じることがあります。

また、厳しい条件を飲まざるを得ない下請けは人件費を削らなければならないことから、残業代不払い等の労働法上の問題の温床となってしまいます。

 

以上のようにIT業界には非常に様々な契約問題が隠れています。

しかし、契約書等の必要性、重要性に関することはまだまだ認知されていません。

今後を見据え、契約書等の整備を進めてみるのはいかがでしょうか。

 

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