(本記事は平成29年3月1日分の未投稿記事です。)
紛争解決のご依頼を頂く方の多くは、(当然というべきか)訴訟に関しては一定のご理解をされている方が大半です。
しかし、訴訟外での任意での交渉や訴訟が開始してからの和解交渉についてはあまりご存じでない方が多くいらっしゃいます。
現実的には訴訟を起こした後でも、裁判上の和解が成立するケースと裁判外で和解して取り下げるケースを合わせると約半数に上るといわれています。
このため弁護士は訴訟案件を受けたとしても常に和解の可能性について思いを致しているわけです。
それではどんな事件であれば和解に進みやすいのか、というと以下のような事件が挙げられます。
・証拠を出し合っても双方(及び裁判所)が結論に自信を持てない事件
・口頭でのやりとりによって起こった紛争が原因になっている事件
・当事者が早期解決を求めている事件
・当事者に金銭的な余裕がある事件
・当事者のうち一方が敗訴するとその後の影響が大きい事件
このような事件では訴訟の提起前に交渉が行われることが通常ですが、上手くまとまらなかったとしても訴訟において証人尋問前に和解が進むというケースもよくあります。
弁護士は和解交渉に臨むとき、以下のようなことを考えています。
・判決になった場合の勝訴可能性
・判決で勝訴した場合の金銭の回収可能性(敗訴した場合の金銭を回収される可能性)
・判決になった場合にどちらかから控訴がなされる可能性
・現実的に争っている金額(争点となっている金額)の多寡
・相手方代理人の和解に向けた態度
・双方の懐事情
このようなことを考えて訴訟に臨んでいるわけですが、やはり金額を提示するタイミングや出し方というものは非常に重要なものです。
同じ金額を出すにしても、すっと提示したほうがいい場面ともったいぶって出したほうがいい場面とがあったりします。
また、依頼者の方の和解に対する態度も様々ですので、こちらへの説明についても考える必要があります。
そのことについてはまた次回にでも。