(本記事は平成29年2月22日分の未投稿記事です。)
ビジネスの根本が取引相手間の相互の信頼関係にあることは間違いないことでしょう。
例えば、金を貸すことは相手がきちんと返してくれることを信頼しているからですし、代金を後払いで商品を納めることもまたしかりです。
信頼があるからこそ将来に向けた投資ができたり、人員を増加させ事業を拡大したりすることができます。
それではどうすれば信頼を得ることができるか。
これにはさまざまな方法があると考えられます。
例えば実績を積むことです。
融資の話で言えば、100万円を貸してきちんと返ってきたから今度は200万円を貸そう、200万円を貸してきちんと返ってきたから今度は300万円を貸そう、といったように融資枠が増えていくことが実績とみられます。
この他には担保を積むということもあります。
法的に言えば、自分ができなければ誰か他の人にやってもらうという人的担保と、自分ができなければ物を持って行っていいという物的担保に分類されます。
しかしながら、これらはあくまで物質的なもので本来的な意味での信頼とは言い切れない部分が残ります(この点、「信頼」と「信用」を区別して表現する方もいます。)。
すなわち、取引をするかどうかを決めるときに物質的な部分だけですべてが判断できるものではなく、取引相手の総体としての人格、人柄、性格、気質、思考といったものも評価の対象になります。
これは個人を見るだけではなく、会社を見る場合もしかりであり、会社の理念、経営方針、社風、活気、イメージといったものが考慮されることになります。
例えば、私(荒木)が顧問契約をご検討頂く場合には、社長様がそれまで会われた弁護士と気が合わないとか、親身になってくれないとかいった理由でこられるケースがあります。
これは単純に新旧どちらの弁護士のほうが訴訟に勝つ確率が高くなり、会社にとって経済的なメリットが大きいかという観点だけではなく、仕事のしやすさ、相談のしやすさ、意欲の高さといった部分も評価されているということであり、ひいては人格が問われている部分もあるのかも知れません。
そういった意味でビジネスでの信頼というものは物質的なものに限られないのですが、信頼を得るために必要なものは何でしょうか。
これは簡単な問いではありませんが、コミュニケーションの観点からいうと、まずは話を「聴く」ということではないでしょうか。
これは例えばコーチングの世界でいうと「傾聴」というのが第一に重要とされているように多くの分野において言われていることですが、やはり相手の考え方を知るということが第一にあると考えられます。
話を聴くということは情報収集のツールとしての意味合いもありますが、実はそれ以外にも多くの効用があるといわれています。
例えば話を聴くだけで相手の満足を得られたり、話の聴き方で印象を持ってもらったり、情報収集の効果をはるかに超えたコミュニケーションツールとして使えるものです。
人間関係がうまくいかずビジネスがうまくいっていないと感じている方には、1日だけでもいいのでひたすら相手の話を聴く日を作ってみることも有効なのではないでしょうか。