今日は朝からお客様のところを回り、夜はスモールサンゼミで一圓克彦先生のお話を伺いました。
心理学というと堅苦しい感じもしないでもないですが、一圓先生のお話は終始実践的なお話で、いつまで聞いていても聞き飽きないという内容で非常にためになりました。
昨日に引き続き家族信託に関するQ&Aを続けます。
- 家族信託をした場合には遺留分の問題が回避できるの?
これには諸説あります。
一部には信託された財産は相続財産とは無関係であるため、遺留分減殺請求の対象とはならないとの見解があります。
しかし、詐害信託が禁止、遺留分の制度趣旨からすると、信託をしたからといって遺留分の問題を回避できるとの見解は少数説にとどまっています。
多数説に従うと家族信託によって完全に遺留分の問題は回避できないという結論に達し、信託を通じて財産を渡すような方法(残余財産受益者への指定、帰属権利者への指定)によって特定の者への財産の帰属を確定させることはできないとされています。
- 家族信託と遺言の併用はできるの?
基本的な考え方としては、家族信託は個別的な財産に関する管理・処分に関する定め、遺言は包括的な財産の帰属に関する定め、という区分けが可能です。
そして家族信託の対象となる財産は相続財産の範囲から外れるため、家族信託の対象とされる信託財産は遺言の対象から外れるため、結果的に家族信託が優先することになります。
但し、家族信託において委託者の死亡時に信託を終了し、信託財産を相続財産に含めることは可能であると考えられることなど、両制度において調整を図ることは可能です。
- 家族信託は家族に秘密でできるの?
家族信託はあくまでも委託者と受託者との契約によるものであり、他に知ることができるのは受益者だけの仕組みであることから、それら以外の家族には秘密にすることもできます。
しかし、家族信託は基本的に円満な財産承継を企図するものであることからすると、ことさらに家族に秘密にすることはトラブルの原因であると考えられ、家族に秘密にしたまま家族信託を進めることには疑問の余地があります。
- 受益者を複数にすることはできるの?
受益権の分割を不可能としない以上は受益者を複数にすることができます。
受益者を複数にする場合のメリットとして大きいのは不動産の共有化対策です。
すなわち、不動産の持分を複数人に分散させることに対し、受益権を分割して複数人に持たせることにより、不動産の管理処分に関しては単一の人に任せることができます。
これによって不動産を共有化した場合に起こる売却が困難になるとの問題や、相続の際に遺産分割協議が困難になるという問題が回避できることがあります。
(続く)