投稿日:2017年02月02日

【札幌 弁護士コラム】確証バイアス的な何かの危険性

(本記事は平成29年2月1日分の未投稿記事です。)

今日は朝からバタバタと打合せからの午後いっぱいで調停を行い、夕方からは原稿の起案をしていました。

最近、次々と案件を頂いており、忙しくしております。

忙しければ忙しいことに合わせてガッツがわいてくるものです。

人間というのは不思議なものです。

 

さて、今日は「確証バイアス」というものについて考えてみたいと思います。

確証バイアスとは、認知心理学や社会心理学における用語で、仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向のこと(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A2%BA%E8%A8%BC%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%82%B9)をいうのだそうです。

要は自分の信じたいものを信じようとする心理と言っていいものと思われます。

 

この確証バイアス的なものは、裁判業界では極めて多く存在します。

誤解を恐れずにいうと裁判官の自由心象主義というものは相当な部分において確証バイアスによって成立しているといっても過言ではないと思っております。

すなわち、訴訟が提起され、原告が訴状を、被告が答弁書を出した時点で相当に多くの情報が裁判官にインプットされていますが、多くの場合にはその訴状と答弁書で「印象」は決まるものと考えられます。

 

一方で民事の裁判の場合には要件事実論をベースとして審理がなされるものとされています。

この要件事実論というのは数学の公式のようなもので「○○」という事実と「××」という事実があれば損害賠償請求ができる、というような仕組みをいいます。

ところが、本来、この要件事実論に従って審理が行われるはずのところ、実は結論を先取りして後で要件事実論に当てはめていくという作業が行われているのではないか、と疑われるような判決も多々見受けられます。

 

このように最初の印象から結論の妥当性を優先して判断を行っていくことは、多くの場合であれば妥当な結論を導けるようにも考えられます。

しかし、印象と妥当性優先に対する確証バイアスがかかってしまうと、重要な反証事実を見過ごす恐れもあります。

全ての裁判官がそうというわけではありませんが、期日において事前に提出した準備書面の内容が全く頭に入っていないという裁判官も散見されます。

このような裁判官というのは結論ありきで審理を進めており、反証を見ようともしていないのではないかという疑いがぬぐえません。

 

裁判官が「確証バイアスには危険性をはらんでいる」という意識を持って頂ければより充実した審理がなされるのではないでしょうか。