投稿日:2017年01月30日

【札幌 弁護士コラム】ホントに手に職があれば幸せ?技術信仰の危険性

今日は朝からご来客が続いており、途中のお使いもありましたが、夕方からは事務所で作業に集中しておりました。

また大きな案件になりそうなご相談もあり、これからますます忙しくなってきそうです。

 

さて、弁護士業というと、やっている本人の認識と外から見た時のイメージとが大きく異なるような気がしています。

外から見たイメージというと、「裁判所で尋問をしている」というものや、「正義の味方として悪に立ち向かっている」というもの、逆に「悪いことを企む人に知恵を貸している悪徳弁護士」というイメージもあるでしょう。

一方で、やっている本人の側からすると「職人」「技術職」「作業量が多い」といったイメージが先行してしまい、あまり人前に出ることが主たる業務というイメージはありません。

 

そのような中で、弁護士の中には特定分野の技術を極めた方、極めようとしている方が多くいます。

法務にも進化がある以上、よりよい法務の環境をご提供されることに尽力している姿には頭が下がるものがあります。

 

しかし、批判的な意味ではないのですが、あまりに技術だけに偏りすぎるのも考えものという見方もできます。

私は、以前の事務所ではファイナンスの専門弁護士として活動していた反面、現在は街弁として活動しているという二面的な観点からすると、極度の専門化をすることには次のような危険性があるのではないかと考えています。

 

  • 技術の陳腐化

専門化するということは、技術的に先端を走っていなければならないこととほぼ同義となってしまいます。

しかし、専門技術は日進月歩であり、常に技術の陳腐化、他業者の追随という問題に直面することになります。

この問題はどの業界でもありますが、先端を走っていたつもりがいつか誰もが技術を持つようになり、レッドオーシャン化しているという例は枚挙にいとまがありません。

 

  • 外部環境の変化

専門化するということは一定の範囲の顧客の中ではシェアを取れるということですが、その範囲は必然的に限定的になってしまいます。

このことから一定の範囲の顧客が共通して抱えているリスクを取らなければならないという宿命を背負ってしまいます。

例えばファイナンスローヤーであれば、金融市場のリスクに連動せざるを得なくなるのであり、実際にリーマンショックの時期には海外ローファームが日本から手を引いたり、国内法律事務所でのファイナンス分野は閑古鳥が鳴いていたりという状況が生じました。

 

  • 原点の忘却

専門化が進んでくるとそもそも何のために専門化したのだったか、ということを忘れてしまうおそれが生じます。

創業者が理念を持ち、かつ理念を後継者に受け継ぐことをしなければ、売上げや収益性といった目に見えるものだけに走ってしまう時代が到来するのであり、顧客をどこかに置いて行ってしまうというおそれがあります。

例えばM&A華やかなりし時代にはデューデリジェンス(法務調査)に大量の弁護士を投入してタイムチャージを荒稼ぎするという事務所が続出しましたが、顧客どころか末端の弁護士ですら「何のためにやっているのかわからない」という業務まで発生する始末でした(というかこの状況はまだ存在するのかもしれませんが。)。

 

もちろん専門化することは重要なことは踏まえた上で、自らの業務におけるその位置づけをしっかりと持ち続け、専門に自分が引きずられることのないように留意しなければならないと考えられます。

 

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