今日は朝からほとんど予定がなく、事務所で集中して作業を進めておりました。
たまにはこういう日があると業務のバランスがとりやすくなっていいですね。
明日は朝から東京に行って船井総研のセミナー、アルバイト時代にお世話になった方との面会と楽しみなことがいろいろとあります。
さて、今日は気分を変えて(?)個別的な法律事務の話として労働事件の話をしてみたいと思います。
労働事件は、企業が関係する案件の中ではおそらくもっとも多く、現代において従業員がいる限り労働問題に直面しない企業はまずないのではないでしょうか。
そんな中で弁護士の立ち回り方が問われるような場面も多く存在します。
〇使用者側?労働者側?
弁護士に対してよく言われることの1つに使用者側なのか、労働者側なのか、ということがあります。
今ではあまり先鋭化していないようには思われますが、いわゆる「左翼系事務所」であれば労働者側だとか、企業法務専門事務所であれば使用者側だとか、事務所のカラーでどちらにつくのかが決まってしまうこともあります。
私(荒木)自身において言うと、どちら側につくこともあります。
この背景としては後に述べるように労働事件はどこか落としどころを見つけなければならないという性格が強いため、落としどころは使用者側も労働者側も一致すべき、という発想に基づいているということが挙げられます。
〇残業代請求事件のつまみ食い
弁護士業界において少し前にいわゆる「過払いバブル」という現象が起きたことは記憶に新しい方も多いと思われますが、過払いバブルの後に「残業代バブル」が来るのではないかとの見方がありました。
これは、過払いと同様に、弁護士が残業代を払ってもらっていない労働者をかき集め、その労働者の使用者に対して残業代を請求しようというスキームがはやるという趣旨のものです。
しかし、残業代請求はおそらく以前に比べて増えているのでしょうが、過払いほど爆発的に増えているような印象はありません。
その理由としては、
- 残業代の計算にあたっては就業規則の確認や賃金計算等の専門知識が必要となり、簡単にはできない
- 使用者が大きい企業でない限り体力がない会社が多く、残業代を請求したとしても支払能力に不安がある
- 残業代の請求期限(消滅時効)が2年間であり、過払いに比べると大きな金額になりにくい
といったようなことが挙げられます。
このような中で、大きい報酬が期待できる案件だけを受け、あまり報酬が大きくなさそうな案件を断るような弁護士が出てきてもおかしくはないと思っています。
たしかに弁護士には受任の自由がありますが、同種の事案における差別をあまりにもあからさまにやるのはどうなのかと思います。
〇落としどころの見つけ方
ご案内の方も多いかと思いますが、労働法の体系は労働者保護を主目的にするものですので、民法の原則のように平等を旨とするものではなく労働者側が有利になるように作られています。
これに対して経営者の方でも平等でないのは納得できない(と、あからさまに言わずとも平等な法律関係でなければ成立しない「目には目を」的な発想でおっしゃられる方はそれなりに多いように思います。)と言ったり、労働者側で労働法の体系以上の傾斜を求めて無理な主張をしたりするようなこともままあります。
このような場合に弁護士としてどのようなスタンスで立ち向かうのかは、相当に資質が問われる場面であるといえます。
法的な結論(例えば解雇が有効なのか無効なのか、残業代はいくらになるのか)を素早く出すことは必須であるといえますが、その上で依頼者に対して納得のいくような説明ができるかが鍵になる場面と多く存在します。
双方がうまく説明できるのであればアッという間に終わる案件もありますし、どちらかが無理なことを言い続けると延々と長期化することもあります。
相手方の立場を踏まえた落としどころを見つけるという能力が試される場面であるともいえます。
最後に申し添えたいのは、労働問題は通常、突発的な問題ではなく、雇用契約という継続的な契約の中で何か不満が生じていたり、見えていない問題が発生していたりするためにどこかで顕在化するものです。
そうであるとすれば問題の芽を早めに摘んでおくことに越したことはありません。
顧問弁護士のメリットもそのような継続的な対応にあるといえます。
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