(本記事は平成29年1月18日分の未投稿記事です。)
ある野球の試合の解説で「悪いファインプレー」と「いいエラー」という言葉が出てきました。
これは見かけ上はファインプレーに見えるスーパーキャッチだとしても守備位置が悪いこともあり、一方でエラーに見えるプレーでも守備位置や動きは良くても直前でボールのバウンドがイレギュラーしたために捕り損ねたというプレーもあるということです。
このように見かけ上の結果と裏でやっている行動が必ずしも結びついていないということは社会において往々にしてあります。
法律の世界でいえばとかく訴訟の結果が見かけ上のインパクトが強く感じられます。
ニュース映像などで「勝訴」と書いた幕を持って裁判所から人が出てくるシーンなどは非常に印象的に映ります。
しかし、訴訟の結果として勝ったということがそれまでにベストの対応をしてきたとは限りません。
このブログでも何度か書いてきたように、訴訟に発展すること自体が当事者双方にとって不幸な出来事であり、勝訴した側も経済的、精神的、肉体的に完全に無傷であるということは極めてまれなことです。
また、我々の業界では必ずしもすべての事件を勝訴で終わらせることが良しとされているわけではありません。
勝てる見込みの高い訴訟でも一定の譲歩をして和解したほうが、金銭回収の観点や上訴による事案解決の長期化防止の観点から有効な場合も多く存在します。
このことからすると、勝訴することがすべてファインプレーであると評価することはできません。
一方で企業が法務面で万全の体制を敷いていたとしても、人が絡むことである以上、100%紛争を防ぐことはできません。
しかし、体制の構築を進めてから紛争が起こる場合には、その体制を反省し見直すことができます。
見直しによってより強固が体制を作ることもできますが、最初に全く体制ができていなかった場合には見直しすらできません。
できうる限りの体制を築いてから起こった紛争は良いエラーであるといえるでしょう。
法務面で万全の守備体制を敷くためには、試合前からの専門コーチによる継続トレーニングを受けることが重要です。
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