投稿日:2017年01月11日

【札幌 弁護士コラム】体験交流の盲点:体験の経験化の欠如

(本記事は平成29年1月10日分の未投稿記事です。)

 

今日は中小企業家同友会の新年交礼会でした。

基調講演でお話しを聞いた石川県で運送事業をされている方のお話が非常に強く心に残りました。

詳しい話は省略しますが、この経営者の方がすごいと思ったのは自らの体験を経験化して会社を成長させていったことがありありと伝わってくること、すなわち骨がらみでPDCAサイクルを身に付けていらっしゃることです。

 

中小企業家同友会もそうなのですが、経営者の会合はややもすると単なる体験交流に陥りがちになってしまいます。

体験交流とは、(独自の定義ですが)各人において起こった出来事を他者にシェアし合う機会を持つことです。

すなわち、体験交流だけでは各人の考察が含まれるものにはなりません(もちろん受け止める側が独自に考察を加えることは可能ですが。)。

 

しかし、考察が加えられていない、生の事実を共有するということはその情報としての抽象度が低く、他者へもたらす影響の質にどうしてもばらつきが出てしまいます。

受け止める側が良質の判断基準を持っており、語られた体験のスクリーニングが正確にできるのであればよいのですが、スクリーニングができない状況で体験が共有されてしまうとノイズの混じったままの情報がその場を支配してしまう恐れがあります。

そのように体験交流を進めてしまうと、体験交流の場自体が必ずしもプラスの場ではなくなり、場合によってはマイナスの場になってしまう恐れもあります。

 

そのようなことを防止するためには2つの方法があります。

1つは、発信者側が体験を経験化したうえで語る、すなわち体験に対して考察を加えいい教えとして抽象化できるレベルまで高めたうえで語るという方法です。

もう1つは、受信者側があらかじめ良質の判断基準をもっておき、語られた体験をいい部分と悪い部分(役に立たない部分)に切り分け、議論を通していい部分を場に共有するという方法です。

 

現実的には後者のほうは受信者側全員に高い能力(知恵)が必要になるため困難と考えられる場合が多いでしょう。

このため、前者の方法、すなわち発信者が体験した情報を省察したうえで発信を心がけるということが現実的に求められているのではないでしょうか。

 

今日は期せずしてかなり抽象的な話になってしまいました(汗)。

 

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