(本記事は平成29年1月7日分の未投稿記事です。)
最近のメルマガで私(荒木)が訴訟が嫌いという記事を載せたところ、かなりの反響があって驚いています。
このこと自体は以前からお話をしていたことなのですが、少々キャッチーな感じで書いたことで多くの方にご認識を頂いたものと理解しております。
何度も言いますが、私は訴訟案件も取り扱っておりますので、それはそれでご相談ください(笑)。
さて、訴訟の前段階として交渉を行ったりする案件もあるのですが、実は本来的に交渉を弁護士に任せきるというのは間違っているのではないかと思っています。
それというのも、弁護士の仕事はあくまでも過去の事実を振り返ってそれを法的に評価する(要するにお金が取れたり取られたりしないかを判断する)のが中心的な仕事であり、建設的な提言をするのは本業ではないからです。
もちろん交渉が得意な先生もいらっしゃいますが、それはあくまでも個人的な特異能力の部分であり、弁護士としての中核的な業務ではないと考えられます。
交渉というのは非常にさまざまな要素が絡むのであり、法律マターだけで交渉がまとまるというのは非常にまれであるといっていいと思います。
法的な交渉といっても最終的には経済的な問題になるのであり、経済的な問題を抜きには語れないからです。
すなわち、例えば私がある会社の被告代理人として交渉に入る場合でも、必ず「いつまでにいくらなら出せますか。」と聞いてからでないと始められないという側面があります。
「いつまでにいくらなら出せるか」という問題は、法律と全く関係がない経理の問題であり、その部分については弁護士が立ち入れるものではありません。
このように考えてみると交渉においては法的な部分は弁護士に任せるとしても、その周辺領域に関しては依頼者本人が判断をしなければならない部分が残ることがわかります。
一方で、法的な観点(要件事実論的な発想)がない交渉というものも見受けられます。
これは交渉以前に双方の間に交渉のルールがなく、かつ双方それぞれに希望する条件と妥協できる範囲が決まっていないように見受けられます。
このような状況で交渉が始まるとまさしく水掛け論のような状態になり、デッドロックされてしまいます。
例えば、学校の担任の先生が学級内でいじめを発見したときの対応で「とりあえず話を聞こう」などと言って、いじめた生徒といじめられた生徒から話を聞くようなことがあります。
しかし、このようなことは様々な観点から問題があり、無駄が極めて多い進め方である場合があります。
列挙するとすれば、話を聞く目的が決まっていない、事実認定を誰が行うのか決まっていない、どこまでの話をすれば終結するのかが決まっていない、法的な問題として扱うのかどうかが決まっていない、学校の管理責任者や教育委員会への報告等を行うのかが決まっていない等です。
すなわち一言でいえば「話を聞いてどうするんですか。」という疑問が払しょくできないということです。
このようなことは世の中的には多々あることですが、見過ごされていることも多くあります。
交渉や話合いを行うときには何らかのルールを作ることを意識すれば進めやすくなると考えられます。
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