投稿日:2017年01月04日

【札幌 弁護士コラム】本当にあった世にも恐ろしい契約書

本日より業務を開始しました。

新年初日から新規の相談やら講師依頼やらが舞い込んできており、快調なスタートです。

また、年末年始も完全に電源を切らず、ホットスタンバイを意識して過ごしてきたおかげで特に反動もなく業務を進められています。

明日から顧問先様を中心に新年のご挨拶に回らせていただきます。

 

さて、今日から業務を開始し、早速、契約書のレビューをしていましたが、恐ろしい契約条項というものは意外と蔓延(?)しているものです。

契約の相手方(特に元請であったり、使用者であったり、経済的に優位に立つ者)からしれっと渡され、「とりあえずハンコ押しといて。」などと言われるような契約書には実はいろいろとすごい条文が入っていたりします。

その中でいくつかの類型をご紹介します。

 

(1)契約を一方的に自由に変更できる条項

これは契約書本体とは別に経済条件(取引の単価など)をその時々で変えるために、「条件書」「価格表」「別紙条件」等との名称で別建てにし、契約書本体では「甲は乙に通知することで条件書を変更できるものとする。」等との文言を入れているような場合です。

このようなとき、甲は何の理由がなくとも乙に通知(郵便を送ること)だけで甲の都合のいいように経済条件を変えることができてしまいます。

乙の側としてこれをあっさり受け入れてしまうと後で過酷な条件を突きつけられても文句を言えないことになってしまいます。

このようなドラフトが出てきたときには、乙としては「通知することにより」の部分を「乙の承諾を得ることにより」等と修正を求めることが考えられます。

 

(2)法外な違約金条項

これもよくある条項ですが、例えば「乙が機密情報を第三者に漏洩した場合、乙は甲に対し、違約金として100万円を支払うものとする。」といった条項です。

契約自由の原則がある以上、基本的にはどのような条項を定めても有効であると見るのが原則です。

但し、一部、あまりにも法外な金額を違約金として定めたような場合には暴利行為としてその条項が無効になることはあります。

しかしながら、違約金条項が無効であると争う場合であっても、書面上に記載されているという力は強く、違約金条項を無効であると主張するのは簡単なことではありません。

この場合、乙は契約上、違約金の金額を妥当なところまで下げてもらうことを求めるか、金額を明示しないように求めることが考えられます。

一方で甲としても、特に損害の立証が難しいような部分については違約金条項を入れたがるものですので、交渉が必要となる事項となります。

 

(3)契約終了、解除規定

また、契約の拘束期間・条件がどの程度に及ぶのか、という点についても見過ごしてはなりません。

例えば一社依存型の下請企業が元請企業と契約するに際して、元請企業がいつでも切れるような契約をしていれば下請企業の社長はいつまで経っても枕を高くして眠ることができません。

一方で契約をいつまで経っても切れないということも問題となりうるのであり、例えば瑕疵担保責任の期間を長く取ってしまったために納品してもその後でずっと追完を求められたり、賃貸借契約の貸主が借主に対して明渡しを求められなかったり、無期雇用契約を結んだ使用者がいつまでも勤怠不良の従業員をやめさせられなかったりという問題が生じます。

この条件設定はやや高度な問題ですが、少なくとも契約当事者として「すぐ切られるのが問題なのか」「ずっと切れないのが問題なのか」という視点を持って契約書を確認することは必要でしょう。

 

経営者の方などはとかく経済条件に目が行きがちですが、このような条項が入った契約書は経済条件を超えた大きなリスクとなる場合がありますので、契約書のドラフト段階で慎重に判断することが必須といえます。

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