投稿日:2016年11月30日

【札幌 弁護士コラム】相続案件における事情聴取の難しさ

今日は第2期つなぐ家族信託研修3日目ということで家族信託のスキームづくりと契約書の作り方についてお話させて頂きました。

その中でワークとして参加者の方に2人1組になって頂いて、それぞれに違うモデル事案の事実関係をお渡しし、その事案の内容を5分間でできるだけ聞き取ってメモにまとめるという作業を行なって頂きました。

 

事案の内容になっている項目がかなり多いというのもありますが、皆さん短時間で聞き取るということに相当に苦労をされている様子でした。

1つの要因としては口で伝えることの難しさです。

例えば名前の漢字を伝える場合、漢字をどう説明するかという点で個性が出て、にわかに伝わらない場合があります。

それ以前に発音がうまく聞き取れないと、漢字と読みが噛み合わなくなってしまいます。

特に実際にご高齢の方から聞き取りを行う場合には、聞き手側の発音が不明瞭だったりすると何度も聞かなくてはならなかったり、質問を誤解されたりすることもあります。

 

また、話の興味の対象が人それぞれ違うということです。

今回の研修では当然、家族信託の話題を取り扱っているため、相続や資産活用についてはみなさんのご関心があるはずです。

しかし、業種によって微妙に話の進め方が違い、私が想定していた聞き取り方とは違う聞き取り方をされている方もいらっしゃいました。

これはそれ自体が悪いということではないのですが、例えば保険関係の方だと年金の種類が気になったりだとか、高齢者と普段接していらっしゃる方だと話の中で上手く相槌を打ったりするなど、単純に家族信託を進めるためだけの質問や回答だけではなく、いろいろなアレンジがあるものだと感じました。

そのような関心の対象の違いというのは、聞き手とご高齢の方との間にも当然に存在するものですので、その意味での齟齬も生じる場合があります。

 

さらにゴールがどこに来るのかを見ながら質問を進めていく必要があると感じました。

これはどんなスキームがあるのか、実現可能なのか、知識と経験がなければかなり難しいことなのですが、ゴールを見ながら進めるという意識が持てれば相当に時間の節約ができることがあります(もちろんこれはスキームを作るためのインタビューという場合のことで、長時間お話することで営業効果が上がるようなことを否定するものではありません。)。

 

そのようなことで、受講生の方よりも講師である私のほうが勝手に学ばせていただいておりました。

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