少し間が空きましたが、信託契約書の作り方に戻ります。
今日は帰属権利者の設定についてです。
帰属権利者とは、信託の清算後の残余財産を受け取る者です。
帰属権利者は、信託財産を最終的に取得する者ですので、遺言における受遺者に近い立場になります。
信託終了後に、信託の清算が行われます。
信託の清算とは、信託財産を現物の財産に戻すために行われる手続です。
すなわち、信託に係る債権と債務とを整理して、プラスの部分とマイナスの部分を打ち消していく作業です。
信託終了後に清算受託者が信託の清算を行うこととなっていますが、清算受託者は通常は受託者が引き続き行うことになることが想定されます。
信託契約において、帰属権利者を設定しておくことは、特定の者の死亡によって信託が終了する場合、その財産について遺言を作って遺贈と同様の意味を持つことになります。
すなわち、もとの財産の所有者であった委託者から信託を経て特定の者(帰属権利者)に財産が渡るからです。
そこで、そのような帰属権利者の設定については、遺贈と同様であるとして遺留分減殺請求の問題が残ります。
つまり、同じ推定相続人であっても帰属権利者として指定を受けていない者からすると、自らが得られると想定されていた財産が得られなくなってしまうことから、帰属権利者に対して財産の一部を戻すように求められるのではないか、という問題点が発生します。
これについては学説上の対立がありますが、基本的には遺留分減殺請求が可能であるという前提に立って信託を設計することが無難であると思われます。
また、帰属権利者への信託財産の帰属と税金についても考慮しておく必要があります。
受益者の死亡に伴って帰属権利者が財産を取得する場合であれば相続税の問題、受益者が生存している場合で信託が終了し帰属権利者が財産を取得する場合あれば贈与税の問題となります。
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