信託契約書の解説第2回は受益者の設定についてです。
受益者は信託の仕組みの中で実質的な信託財産の保有者として振る舞える存在です。
受益者の権利を十分に確保することが信託契約上も求められます。
まず、当初受益者の設定ですが、家族信託では原則的には自益信託(受益者=委託者)で開始することとします。
一方で他益信託(受益者≠委託者)にすると設定時点で贈与税が発生するため注意が必要です。
また委託者が1人であるにもかかわらず、受益者を複数として受益権を共有にする場合(ex.夫が不動産の所有者である場合に、信託を設定したときの受益者を夫及び妻とするようなとき)にも贈与税が発生することがあります。
次に、受益者連続型の場合には二次以降の受益者の設定について、相続税の配偶者控除の利用を考える余地があります。
すなわち、配偶者の死亡が原因で受益権又は信託財産(現物)を取得した場合には、配偶者控除として、相続税について配偶者控除の適用対象となるため、これをうまく利用することを検討すべきでしょう。
受益権を分割可能とするかについても検討する必要があります。
受益権を分割可能とすることで現物自体を共有としなくて済むという場合があるからです。
不動産や株式が共有又は分散することで処分が難しくなり、そのような事態が望ましくないような場合には、受益権を分与することで対応することもあります。
指図権を設定するかという点も考慮の余地があります。
指図権とは受託者に対して信託事務を指示命令する権利をいいます。
指図権を設定することで実質的に財産権を持つ受益者と別の者に意思決定権限を持たせることができます(もちろん受益者に指図権を持たせることもできます。)。
これによって受益者の意図に従った形での信託を維持できるよう、受託者に対するガバナンス機能を高めることができます。
但し、指図権者が認知症になった場合や死亡してしまった場合に、信託を動かせなくなってしまう恐れを孕んでいますので、契約上のケアが必要です。
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