投稿日:2016年07月28日

【札幌 弁護士コラム】ビジネスにおける利他

最近、よく思うのが、ビジネスは誰のためにやるものか、ということです。

よくいい商売のやり方を評して「売り手良し、買い手良し、世間良し」(近江商人の言葉)というようなことをいいます。

しかし事業家の中でこのことがどれだけ実践されているのか、ということを思います。

 

確かに事業の直接的な目的は、その事業体の利益確保、維持存続と発展にあります。

その直截的な手段として自社の利益を図る売上げ増加、コスト削減に向けた取組みを行うのは当然です。

 

しかし、そのような短絡的な発想だけでは必ず限界がくるのではないかと思います。

 

1つには、その発想自体が単純すぎて、他社も当然に行っていることである以上、いわゆるレッドオーシャンに突入していくことが確定的であるということです。

単に事業体の利益確保を図る手段はある程度限定されており、かつどの事業体もまずはそこに目が向く以上、自社だけが実践している方法というのはまず存在しません。

そうすると利益確保、維持存続と発展という単純な発想に基づく行動を取るだけでは他社との差別化にはいたらず、過酷な競争原理に晒され続けることになってしまうということです。

 

もう1つには取引先や従業員を出し抜いてでも利益を確保しようとする危険を孕んでいるということです。

事業体自体の利益のみを求めるということであれば、取引先や従業員の利益を極小化することが正当化されるということにつながります。

ここで経営者にせめてコンプライアンス意識や倫理意識といったブレーキがかかれば問題はないのですが、そもそもの発想が事業体の利益という観点しかなければ徐々にこのようにブレーキとなる意識も減退してきます。

そのような中で取引先や従業員との契約を守らず、出し抜くようなことを行えばその事業自体が社会的な害悪というまでに落ちぶれてしまいます。

 

私(荒木)は「売り手良し、買い手良し、世間良し」というような理想的な商売に至ることは相当な困難を伴うものだと考えていますが、日々の業務の中で少しでも「利他」という発想をもって行動するだけでも大きな変化をもたらすのではないかと考えています。

「利他」というとやや仰々しく聞こえるかも知れませんが、「自分にとって利益にならないが、他の人にとって利益になることを少しでもやればいい。」というように考えるとそのハードルは下がります。

「自分にとって不利益になる」ということではなく「自分にとって利益にならない」ということにとどまりますので、自分が損をすることをやらなければならないわけでもありません。

少しずつでも他の人の利益を考えることがやがては他社との大きな差別化につながるのではないでしょうか。

 

かく言う私は周りの方のご厚情に頼ってばかりですが、このように自らの利益にならないにもかかわらず私に人や仕事をご紹介頂いた方からのご恩はまず忘れないですし、(その方が恩返しを求めているとは思いませんが)何かあれば恩返しをしようと思っております。

このように無償で何かを提供できる方と見返りがなければ何もしない方を比べて見たとき、「事業としての格」や「人としての格」の違いを感じてしまうのは私だけではないと思います。

そのような「格」の違いが明らかになっていれば、どちらの事業がうまくいくものかは自明だといえます。

 

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