投稿日:2016年07月25日

【札幌 弁護士コラム】家族信託の作り方・使い方⑦:利害関係の調整①

家族信託は基本的に円満な相続・資産承継を前提とするものであり、関係者の一部に有利なスキームを組むと後の「争族」トラブルの原因になります。

このためご本人以外の関係者の利害関係も把握した上で、誰からも不満の出にくいスキームを構築することが望ましいものといえます。

また、一部の関係者に不利になる関係者が生じうる場合には事前に承諾を得ておくということも考えられます。

具体的には家族内の関係者に関しては以下のようなことに注意することが必要です。

 

①相続分に関する利害対立

家族信託を設定することにより、相続分が減ってしまう推定相続人が発生する場合には注意が必要です。

すなわち、家族信託を設定した場合には、信託契約において対象となる信託財産を信託の終了時に誰のものとするか、帰属権利者の設定をすることができますが、これによって信託財産を得られる方と得られない方が出てくることになります。

信託の対象となる財産以外において平等にするような調整(例えば遺言等によって)が図れればいいのですが、それができない場合には不平等が生じることとなります。

紛争に発展させないためには得られる財産が少なくなる方に説明を行った上で、事前の承諾を得ておくなどする対応が必要です。

このとき、得られる財産が少なくなる方から遺留分減殺請求ができるかについては一つの大きな論点になりつつありますが、ここでは踏み込まないこととしておきます。

 

②誰から話を聞くか

誰から話を聞くかによって案件に対する理解が変わることがあります。

コーディネーターや専門家としてはなるべく複数の家族から話を聞き、中立公正な立場でスキームを検討することが必要です。

特にご本人の子供のうちの一部が認知症対策、相続対策に躍起になっているような場合には、ご本人の意にそぐわない場合もありますので、ご本人の意向を早めに確かめておく必要があります。

子供の一部の方が家族信託に興味を持っていただき、具体的なアドバイスを行った場合でも、いざ実行となるとご本人に全く情報が伝わっておらず、それまでの検討が全く無駄になってしまうということも往々にしてありますので、進め方については十分注意すべきだと思います。

 

③家族会議の設定、リスクに関する同意書の取得

基本的に家族信託の設定は利害関係者全員の了解のもとで行うべきでしょう。

極力ご本人を中心として家族会議を開き、どのようなスキームを採るのかを説明して頂くよう求めることが望ましいと思われます。

それというのも家族信託の基本的な構造は、全て情報開示をした上での資産承継・相続のスキームづくりをするというものですので、誰かを出し抜くようなものではないということが前提にあります。

家族会議においてスキームを公開し、不満がある関係者がいるようであれば、健在であるご本人が説得を試みることができます。

しかし、全てのケースで家族会議を開いて頂けるわけではないので、家族会議を開いてもらえない場合で、将来のリスク(ex.遺留分減殺請求がなされるリスク)があるときには実行前にそのリスクをご本人にご説明した上で、リスクに関する同意書を取ることも考えられます。

 

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