投稿日:2016年07月23日

【札幌 弁護士コラム】家族信託の作り方・使い方⑤:聞き取りのポイント②

⑤住所、居所

通常は住所などは明らかなものですが、住民票上の住所に実際は住んでいないという方もたまにいらっしゃいます。

またご本人の住所だけではなく、相続人の住所も知っておく必要があります。

住所と居所(実際の居場所)が違うパターンとして1つは海外に住んでいるという場合です。

転勤や留学等の一時的なものであればさほど問題になりませんが、永住を目指して転居していった場合等は、日本での印鑑登録証明書等の取得が困難な場合が考えられます。

そのような場合にはどの程度の頻度で日本に帰ってくるかを確認しておく必要があります。

また、施設に入っているご高齢の方が住民票を実家のままにしているケースもあり、住民票の住所宛の郵便物をタイムリーに確認されていない場合があるので注意が必要です。

 

⑥連絡の可否、連絡の状況

家族信託を設定するにあたっては、ご本人や子供(相続人)の意思確認や押印が必要となる場合があるので、これらの方に電話、郵便のいずれでも連絡できることを確認しておく必要があります。

また、ご家族が連絡が可能であると仰っている場合であっても、長らく連絡を取っていないようなときには家族信託に対する理解が得難い場合もありますので、どの程度緊密に連絡を取っているのかについても確認しておくことが望ましいでしょう。

 

⑦家族の意思能力の状況

まずは当然のことながら委託者となる方(ご本人)の意思能力の確認が必要です。

意思能力がなければ信託契約を結ぶことができず、家族信託の設定ができないためです。

また、受託者や(指図権を持つ場合)二次受益者も意思能力を確認しておく必要があります。

受託者も信託契約の当事者ですので、意思能力がなければ信託契約を結べませんし、二時受益者が指図権を持つ場合には二次受益者が意思能力を失ってしまえば指図権を行使できずに、デットロック状態(何も動かせない状態)になってしまうからです。

意思能力があるかないかの判断については、きわどい場合にはかなり専門的な話になることもありますが、ここでは詳細は割愛します。

 

⑧財産構成

不動産は登記が取れる程度に確定させる必要があります。

住居表示だけでは登記を取ることはできませんし(法務局に電話すれば大抵答えてくれますが。)、未登記物件である場合にはそもそも登記がありません。

また、固定資産税評価額もできれば確認しておくことが望ましいでしょう。

不動産を家族信託する場合には登記が必要となりますが、登記の際の登録免許税を見積もっておく必要がありますし、(つなぐ相続アドバイザーズの場合は)報酬の基準を固定資産税評価においていますので見積りを出す際にも必要となります。

次に、現預金の金額もなるべく(少なくとも100万円単位の誤差が生じないように)確定させる必要があります。

現預金の金額(特に預金残高)についてはご本人も把握していない方が多く、可能であれば預金通帳を提出してもらい、残高を確認することが望ましいです。

しかし、預金通帳を他人に見せることを嫌がる方も多いため、あまり無理に見せてもらうことは避けたほうがいいかもしれません。

保険についてははご本人も内容を把握していないことが多いので証書を確認し、保険金額、解約返戻金等を調べる必要があります。

相続税の試算においても意外と(?)重要になることが多くあるため、極力正確な情報を得ておく必要があります。

また、オーナー経営者で自社株を持っている場合にはなるべく正確に株主構成を確認しておく必要があります。

中小企業の場合には株主名簿が完備されていないことも多く、そうなるとご本人の記憶に頼らざるをえないことがありますが、他の人と言っていることが違う場合には紛争のおそれがありますので注意が必要です。

 

⑨ご本人の性格・意向

ご本人がどの程度積極的に進めようとしているかは確認が必要です。

お子様だけが積極的に進めようとしている場合には、いざご本人の意向を聞いたときにご本人が特に家族信託の希望を持っていないということもままあり、この観点からするとなるべく早い段階でご本人の意向は確認しておくべきです。

また、各財産それぞれについて意向や希望をきちんと把握することも重要です。

大雑把な正確の方の場合、「だいたい均等にわたるように。」とか「面倒を看てくれた長男には少し多めに。」などといったアバウトなオーダーをされる場合がありますが、このときにしっかりと財産ごとの意向を詰めておかないと後になって紛争のおそれが生じます。

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