家族信託を組成するにあたってはまずスキームを固めなければなりません。
スキームとはいわば契約書の設計図のようなものです。
これが固まっていなければ契約書にどのような文言を入れたら良いのかが確定しません。
そしてスキームを作るのに一番大切なのは、ご本人(委託者)を初めとする関係者からの聞き取りです。
本日はこの聞き取りにおいてどのようなことに注意しなければならないかをご説明します。
①聞き取りの対象者
まずはご本人のお話を聞きます。
ご本人は財産の所有者ですので当然、一番情報を持っている立場です。
しかし、既に子供に資産管理を事実上任せている場合やご高齢の方であれば相続・資産承継対策に意欲があまりない場合(「全部息子に任せるよ。」というようにおっしゃる場合)もあり、真意を汲み取るには時間がかかる場合もあります。
また、ご本人の子供からのお話も参考になる場合も多くあります。
子供は親の相続・資産承継対策に意欲的な場合が多く、積極的に情報を出して頂ける場合があります。
但し、注意すべきはご兄弟がいる場合には遺留分の問題が発生しうるのであり、兄弟のうちお一人だけの意見に肩入れしすぎると後でトラブルの原因になります。
その他に婿や嫁といったご本人と血縁関係がない人が相続にご関心を持っており、ご相談にいらっしゃる場合もあります。
しかし、ご本人とは直接的な関係がないことから、ご本人からどこまでの関与が許されているのかは要確認です。
このように情報の偏りがないように家族全員から聞き取りを行えるのが理想的ですが、少なくとも複数の観点から情報収集することが望ましいと思われます。
②対策の目的
まずは聞取りをした方に不法、不当な目的(詐害信託、遺留分減殺請求回避信託等)が含まれていないかを確認する必要があります。
その上で家族信託で達成したい目的を明確にしていく必要があります。
信託の目的については以前の記事をご参照下さい。
③家族構成
まず遺留分等の関係から相続人は確定できているかを確認する必要があります。
特にご本人に養子縁組、離婚があった場合、ご本人の兄弟が推定相続人になっている場合については相続人が明確になっていない場合もありますので注意が必要です。
そのうえで家族間は平穏か、家族信託を設定するのに反対しそうな人はいるか、すなわち家族信託をスムーズに進めるのに阻害要因はないかを確認します。
また、推定相続人の中に体調の悪い人や認知症になられている人がいないかも確認しておく必要があります。
スキームを策定している段階で推定相続人が亡くなられたり、認知症であることが判明するとスキーム自体を作り直さなければならないからです。
④職業
ご本人が農業をやっていた場合は、お持ちの土地が農地ではないかを確認する必要があります。
農地の場合、土地の地目変更で対応できない場合には原則的に信託することができないためです。
また、ご本人が会社や個人事業をやっていた場合は保証債務がないかを確認しておく必要があります。
保証債務は毎月支払うものではなく、ご本人の記憶に頼らざるを得ない部分があるため、ご本人が家族に言っていない場合にはご本人が亡くなったときに初めて明らかになることがままあるためです。
(続く)
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