投稿日:2016年07月19日

【札幌 弁護士コラム】家族信託の作り方・使い方②:家族信託の類型②

昨日に引き続き、家族信託の解説を続けます。

④不動産の共有化対策
既に共有になっている不動産をまとめ、又は将来的に相続によって不動産が共有化することを防止するパターン。
不動産が共有状態になっていると、共有者全員の同意がない限り売却等の処分を行うことができず、処分に窮してしまうケースがあります。
共有者のうち1人でも認知症になってしまい、意思能力がなくなってしまうとこの状態に陥ってしまうため、軽視出来ない問題です。
不動産の共有化は相続の際に公平を期すあまり、不動産までも単純に法定相続分に従って共有としてしまうところに端を発することが多くあります。
相続発生前に家族信託を活用することにより共有化を未然に防ぐことができます。
また、一旦共有になってしまった不動産についても、家族信託を活用することで不動産を1人に集め、処分を容易にすることができます。

⑤アパート・マンションオーナーの法人成り
法人に物件を移すのに代えて物件を信託した上で受益権を法人に移すパターン。
個人で賃貸アパート・マンションをお持ちの方からの反応が大きいスキームです。
賃貸アパート・マンションを複数棟お持ちで、賃貸経営が好調な方は、収益に対して所得税よりも法人税を支払ったほうが税率が低くなるという現象が発生します。
しかし、法人税で支払うためには法人を設立した後、物件を法人に移さなければなりません。
この際、通常であれば、物件を移す際に不動産取得税と登録免許税(2つ合わせて不動産流通税)が課税されるために資金繰りがうまくいかず、法人成りを断念せざるを得ないケースが多くありました。
それに対して信託を活用した場合、信託の設定の際には登録免許税が必要となりますが、不動産の移転に代わる受益権譲渡の際には、受益者変更登記に要する1000円程度の費用で済むことから、通常の場合の約10分の1程度の負担で実質的に物件を法人に移すことができます。
これを行なっておけば、所得税ではなく法人税で納税するということができ、節税効果が得られます。

⑥事業承継
自社株を持っているオーナー社長の認知症対策や議決権と財産権を分けて承継するパターン。
事業承継においてはどのように株式を後継者に引き継ぐかが大きなポイントとなります。
しかし、株式の引継ぎは一朝一夕では実現できるものではなく、株式の評価に始まり、株式価値の削減、株式譲渡の方式決定、譲渡実行の際の売買代金の調達等、相当な時間を要するものです。
この間に社長が認知症になってしまったり、突然死亡してしまったりすると、それまでの準備が水の泡になってしまいます。
そのような場合に備えて、信託をしておくことでリスクを回避することができます。

(続く)

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