投稿日:2016年06月17日

【札幌 弁護士コラム】契約書に書いてあること、法律に書いてあること

本日は弁護士会の研修で、東京でご活躍中の弁護士、伊庭先生のお話を聞いてきました。

伊庭先生は、私(荒木)よりもずいぶん早くから民事信託(家族信託)の可能性に着目して、東京弁護士会の相続に関する委員会を中心に普及活動をされています。

単に売上げのために普及活動をされているのではなく、多くの弁護士に知識を普及させ、相続でお困りの方の力になりたいとの強い想いで普及活動をされています。

今日も80頁にも及ぶ(!)レジュメをご提供下さり、事細かにご説明を頂き大変勉強になりました。

 

家族信託を組成するためには信託契約が必要なのですが、契約書に何を書くかということについてはいくつかの目的によって異なります。

 

まず、とにかく契約書を簡略にしたいという場合、当事者、契約の本質的な部分(売り買いするのか、貸すのか、業務を提供するのか等)、目的となるもの、金額くらいを書いて置けば最低限のことは事足ります。

というのも、契約書で書いていないことについては当事者間で何も決めていないのではなく、その部分については法律に従うという約束をしたことになるのです。

金額が小さかったり、契約が終了するまでの期間が短かったりするなど、リスクが小さいときはそのように最低限のことについてだけ規定しておけば足ります。

 

一方で、法律と違う約束をしたい場合には契約書に明記する必要があります。

例えば一番有名(?)な条項としては、不動産売買における所有権移転のタイミングが挙げられます。

民法のルールであれば、不動産の売買をするとき、「売ります」「買います」という合意が成立した瞬間に売主から買主に不動産の所有権が移転することになっています。

しかし、そのようなことにしておくと、実務上では売主が売買代金を受け取れないリスクが大き過ぎるため、代金の納付等と同時に所有権が移転するという特約を結ぶことが当たり前になっています。

このように民法を初めとする法律のルールではうまくいかない場合や条件を変えたい場合には法律の特則としての契約条項を入れる必要があります。

 

法律的な部分でいえば上記の2つが契約書を作成するにあたって必要最低限のことになります。

しかし、法律に書いてあることや法律の解釈上、当然であることもあえて契約書に書くこともあります。

この理由としては、法律の特則の部分だけを書いていくと契約書全体としていびつなものになってしまい、流れが悪くなるということがあります。

特則だけを書くということは、プロ野球のダイジェスト版だけを見せられているようなもので、全体的な位置付けがわからないままに契約を理解することは難しいからです。

 

また、もう1つの理由は、契約書を作るのがプロだとしても、契約の当事者は法律の素人である依頼者の方ですので、契約締結後にトラブルになった場合、全く理解ができないようなものであれば結局使えないからです。

このことは弁護士も依頼者の方もお互いによく理解できていない部分だと思っています。

ですので、私は各会社を回って既に結んでいる契約書の意味を解説していくようなサービスもやったらいいんじゃないかと思っています(ご用命があればすぐに駆けつけますので、ご連絡下さい(笑)。)。

 

そのようなわけで本当に使えて、誰からもわかりやすく、過不足のないような契約書をつくることはなかなか大変なことだと思います。

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