家族信託について、多少は世間的な認知度は上がってきているように思いますが、私(荒木)が交流会等に行って「何が専門なの?」と訊かれたとき、「家族信託です。」と答えてお分かりになる方はまだ10人に1人もいないように思います。
そのようなとき、私は大体次のように説明しています。
①家族信託は相続(資産承継)の一つの手法であること
まずは家族信託という言葉自体を聞いたことがない方も多くいらっしゃいますので、まずどのような分野の業務かということを言います。
②遺言との違い
次に、相続対策というとすぐに思いつくのが遺言を作ることですので、それとの違いを説明します。
ここでのポイントは2つあります。
(1)まずは遺言だと死亡時の対策しかできず、亡くなるまでに認知症になってしまうことにはできないが、家族信託であれば両方の対策ができること、(2)遺言だと一代限りの効力しかないが、家族信託(受益者連続型)であれば二代以上にわたって財産を承継する者を指定することができること、です。
遺言との違いは比較的イメージしやすい部分ですので、ここでのメリットを明確に打ち出すことによってぐぐっと興味を持って頂けることがあります。
③生前贈与との違い
また、家族信託は信託設定時に財産の名義を移すものですが、名義が移るという点で生前贈与との類似性を感じるかたもいらっしゃいます。
そこで生前贈与との違いとして、(1)生前贈与であれば贈与時点で贈与税が発生するが、家族信託(自益信託)であれば信託設定時点で贈与税は発生しないこと、(2)生前贈与であれば贈与時点において完全な所有権が贈与を受けた者に移転するが、家族信託の場合であれば信託設定時点では完全な所有権が受託者に移るわけではなく、受託者は信託契約に定められた規制に従って財産の管理を行わなければならないこと、を挙げます。
ここまで詳しく説明すると若干難しくなってしまいますが、簡単にいうと、「生前贈与はあげるということだが、家族信託は預けるということ。」と説明するとスッと入ってきやすいかも知れません。
④成年後見との比較
特に高齢者施設や高齢者へのケアをされている方には、成年後見との比較を述べるとわかりやすいと言って頂けるような気がします。
もちろん、家族信託は委託者が意思表示をできる状態でなければならないため、家族信託と意思表示が困難になったことをもって選任される成年後見とを同列に話すことはできませんが、先に家族信託を行っておけば以下のようなメリットがある、というご説明をします。
(1)成年後見の場合には後見人が専門職(弁護士、司法書士)となるときがあるが(アパートオーナーであったりするとかなりの確率で専門職が選任されるものと思われます。)、その場合には費用(月々3万円程度)が発生するのに対し、家族信託であれば期中の費用は不要であること、(2)成年後見の場合は亡くなるまでの間、全財産が対象となるが、家族信託の場合には財産を選んで対策することができ、受託者に裁量を持たせることもできること、です。
このように家族信託という耳慣れない制度であったとしても、他の制度と比較することによりわかりやすく特徴をお伝えすることができるのではないかと思います。
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