投稿日:2016年05月04日

【札幌 弁護士コラム】交渉における3つの条件

昨日は東京で3月の鮒谷周史さんの2日間セミナーでお知り合いになった方とお会いし、食事をしました。

みなさん、向上心が強い方ばかりで、あれやこれやとお話をしているうちに、ついつい時間の経つのを忘れてしまいました。

今日はその中でお話させて頂いた話で、若干テクニカルな話ですが、ご好評を頂いたのでご紹介させて頂きます。

 

私(荒木)は、職業柄、いろいろな人と交渉をする場面があります。

私自身がお客様との仕事の条件についての交渉、お客様の代理人としてと相手方と行う交渉、法的手続を進めるにあたって裁判所等の関係各機関と行う交渉など様々です。

その中で意識しているのは交渉は行き当たりばったりではなく、計画的に進めるということです。

書面でやりとりするのではなく、口頭でやり取りする場面ではとかく話術に長けているとか、押しが強いとかで交渉が成立するようにも考えられていますが、私は計画性が大切だと考えています。

 

計画性についてはスケジュールや場所の決め方、交渉が決裂した場合の処置等も含まれてきますが、それらは別の機会に譲るとして、懸案事項の条件決定について大切な準備についてお話します。

それは、①落としどころ、②希望するところ、③譲歩できる限界のところの3点を明確にしておくことです。

 

まず①は、最終的に懸案事項の条件がこれくらいに落ち着くだろう、という見通しです。

これを見極めるためには、ある程度、法律的・経済的な合理性を前提として考えておく必要があります。

自分の立場と相手方の立場を比較して合理的な妥協点がどのあたりかを見定めることによって決定されます。

文字で書くとこむずかしいですが、実際にご相談を受けていたりすると、職業柄か経験的なものなのか、不思議と直感的にわかってくるものです。

 

②は、当方における最大限の希望の条件です。

例えば売掛金を回収するような場合であれば、契約内容における金額から弁済分を引いて遅延損害金を載せた金額がこれにあたります。

通常はこの条件が交渉の出発点になるのですが、条件提示の第1声がこの条件になるかというとそうでもありません。

この例でいえば、契約内容に問題があったり、当方の債務不履行があったり、相手方が金銭的に困窮していたりと、相手方が売掛金を全額弁済しない理由が何かしら存在するはずです。

このため、最初から遅延損害金については請求しないなど、一定の譲歩を行うことも往々にしてあります。

 

③は、当方において妥協できる限界の条件です。

この条件は交渉にかけられる期間や、訴訟等の法的手続にかかるコストを勘案した上で考えうる最低の条件です。

この条件を決めるには、交渉に要する時間の勘所や弁護士費用、裁判所費用等の知識が必要になってきます。

私が代理人として交渉に当たる場合においては、私が条件提示をしてもよい最低ラインという意味を持ってきます。

 

この3つの条件を決めたときに①が②と③の間にないようであれば、条件設定がどこかおかしいということになります。

このとき多くの場合は③がおかしいのですが、③を妥協できないということはそれまでのビジネスや経緯において何らかのバグが潜んでいるということがいえます。

すなわち、合理的に条件を決めようと思ってもそれができないということは、どこかで違法・不当なことをしなければ事が進められない状態になっているのであり、既にどこかしらに破綻が生じているということになります。

例えば「法律どおりに残業代を支払っていたら金が回らない。」という話をよく聞きますが、これは明らかに賃金体系や売上げを立てるためのビジネスモデルが破綻していることを意味します。

 

皆様も交渉にあたってはこのような3つの条件を意識してみてはいかがでしょうか。

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