今日は事実の捉え方、認識の仕方についてお話したいと思います。
まず大前提ですが、客観的な事実とは唯一のものであり、万人共通に認識されるはずのものです。
それにも関わらず、事実の有無を巡って紛争が起こるのはなぜでしょうか。
1つには、客観的事実であったとしても、事実の全てについて万人が認識できないことがある(むしろ認識できないのが通常である)ことが原因です。
例えば、よく言われていることはマスコミは報道したい事実だけを報道するということです。
マスコミは大半が営利目的で報道を行っているのであり、売れる、注目を集める、人々の興味がある事実のみを取り上げて編集し報道を行います。
このためにその編集された報道に触れた人は、その編集された事実のみが客観的事実のような誤解をしてしまいます。
このように人づてに得た情報に基づいて認識した事実は、人(マスコミ)の主観的な編集が加えられているため、客観的事実を誤解しているおそれがあります。
もう1つには、人が一度認識した事実であっても、時の流れとともにその事実の意味付けや解釈が変わるということです。
例えば、離婚相談を受けているとき、お客様が話される内容は「夫は暴力的な言動ばかりしていた。」とか「妻は全く家事をやらなかった。」とか、相手を批判する内容ばかりです。
しかし、客観的事実としては、前者の旦那さんは男らしく頼り甲斐があったから結婚したのでしょうし、後者の奥さんは活動的で外で頑張る姿が良かったから結婚したのでしょう(少なくともそういう要素はあったのでしょう。)。
このように時の流れにより、立ち位置が変わることによって、同じ客観的事実であっても同じ人の中で解釈が変わっていくことは往々にしてあります。
歴史的事実の解釈も時の支配者によって変えられているということもこのたとえになるでしょう。
このようなことから、人の記憶や認識というのは、客観的事実と離れている可能性を多分にふくんでおり非常に曖昧なものです。
法律問題が発生するのもこのような人の記憶によるバグが発生することによって起こるケースが非常に多いと思われます。
このような人の記憶や認識に基づいて事業や計画を進めることは非常に危険であるといえます。
このような危険を回避するために私はつねづね契約書をはじめとする書類作成の重要性をお話させて頂いております。
契約書があるだけで万事が解決するわけではありませんが、少なくとも客観的事実についての記憶喚起や客観的な事実の解釈のヒントとしての意味は持ちます。
その意味でいうと契約書をはじめとする書類は、時に流されている事実の一部に杭を打ったり、ブイを浮かべたりするような効果があるといえます。
動いていく事実の中で動かぬ証拠としての書類は時として極めて重要な価値を持つことがあることを認識しておく必要があるでしょう。
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