訴訟を起こそうかと考える過程で多く見られる傾向として、「相手が100%悪い!」とか「自分は全く悪くない!」のように考えることがあります。
しかし、「盗人にも三分の理」というように完全にどちらかが悪いというケースは稀なことです。
このため、最初は100%勝てる(負ける)と考えている場合でも、交渉や訴訟を進めていく段階において段々と勝算が変わってくることがあります。
この勝算の感覚というのは弁護士独自のものであり、かつ弁護士によって少しずつ感覚が異なるため、なかなかこれを正確に依頼者の方にお伝えすることは難しいものです。
また、和解を進めるためには事件の落としどころをご説明することが必要になりますが、これも100%勝てると信じて疑わない依頼者の方にご理解を頂くことは一苦労です。
ここで何が示唆されるかというと、弁護士と依頼者の方との間には伝えようとしてもどうしても伝わらない部分があるということです。
これはもちろん弁護士が専門的な知識を有しており、法律的な考え方ができるかどうかという違いがあります。
しかし、それ以上に大事なことは「言語」を持っているかどうか、ということだと思います。
例えば法律用語では「過失割合」という言葉がありますが、特に交通事故の分野ではこの「過失割合」をどのように算定するかということについて権威的な本があり、それに従って算定されることになります。
一般の方であれば「どちらが悪いか」という言葉しかお持ちでないことが多意と思われますが、「過失割合」という言葉を知れば、「どちらが悪い」という判断基準に加えて「過失割合」という判断基準が生まれることになります。
「過失割合」という言葉を理解することで、それまで「絶対に損害額全額を払ってもらう!」と考えていたとしても、「過失割合が〇割だから、この金額での和解でもやむを得ないな。」と考えられるようになります。
このように新しい言葉を使えるようになることで、新たな判断基準が生まれ、考え方が変わるのです。
交渉や訴訟は単純な勝ち負けだけではなく、中間的な解決もたくさんあります。
多くの言語表現を持つことが、物事を捉える場合のグラデーションパターンの多さにつながり、きめ細やかな判断基準を持つことができるようになるものと考えられます。
何らかの紛争の火種があったとしてもきめ細やかな判断基準を持つことで、無用な紛争を減らせるのではないでしょうか。
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