投稿日:2016年04月01日

【札幌 弁護士コラム】ひとのせいにしちゃいけない、それが経営者

トラブルが発生したとき、誰の責任と考えるかということについて自責と他責という言葉があります。

 

自責:自分で自分の過ちをとがめること。また、自分に責任があると考えること。

他責:自分以外の人や状況に責任があるとして、とがめること。

 

とかく紛争処理という仕事をやっている職業柄、自分の非を認めるのか、全て相手方の責任にするのか、考え方ひとつで結果が大きく異なるものだと感じることが多々あります。

確かに完全なるもらい事故のように過失割合が100対0のものもありますが、大抵の紛争は多かれ少なかれどちらにも非があるものです。

「盗人にも三分の理」というやつです。

特に長年勤めてきた従業員と会社のトラブルや、熟年離婚する夫婦のように、長期的、継続的に続いてきた関係における問題というのは長期間の積み重ねによるものが大きく、単純にどちらか一方が悪いという話にはなかなかなりません。

いざ紛争を解決しなければならないというときには、多少は強気に出なければならない(他責の気持ちにならなければならない)こともありますが、かといって他責の考え方だけで話をすると、まとまる話もまとまらなくなってしまいます。

紛争を話合いで解決しようと思うのであれば、双方がどこかには自責の考え方を持っていないと交渉として成立しません。

 

一方で会社経営におけるコンプライアンスを保つためには、経営者は基本的に自責のみで動かなければなりません。

経営者は「空が青いのも、ポストが赤いのも自分のせい」くらいの気持ちで経営を行わなければならないのです。

つまり経営者は、どんな艱難辛苦があったとしても自分の責任のもとに乗り越えていかなければならない宿命を負っているのです。

 

反対に何でもかんでも他人のせいにする経営者が経営をしていたらどうでしょうか。

極端にいえば「売上げが上がらないのも、従業員が働かないのも、クレームが殺到しているのも、訴訟を起こされるのも他人のせい」と考えているような経営者は何の仕事をしているというのでしょうか。

こうして考えてみると、普段いかに自分の責任であることを他人のせいにしてきたかがわかると思います。

 

こういうことを書いているうちに自分の胸が痛み始めましたのでそろそろ終わりにします(笑)。