投稿日:2020年06月08日

「契約自由の原則」とは

定義

「契約自由の原則」とは、個人の契約関係は契約当事者の自由な意思によって決定され、国家はこれに干渉せず、これを尊重しなければならないという近代私法の原則のことをいいます。

要件と効果

「契約自由の原則」は、
(1)契約締結の自由
(2)相手方選択の自由
(3)内容決定の自由
(4)方式の自由
の4つの原則を要素としています。

関連条文

民法521条、522条

説明

「契約自由の原則」は、「締結の自由」、「相手方選択の自由」、「内容の自由」、「方式の自由」の四つが内容とされています。

「締結の自由」とは、契約を結ぶかどうかの自由、「相手方選択の自由」とは、どのような相手と契約を結ぶかについての自由、「内容の自由」とは、どのような内容を結ぶかについての自由、「方式の自由」は、どのような方式で契約を結ぶかについての自由であり、個人の契約関係を保障するためのものです。

しかし、近年では社会政策的な観点や行き過ぎた自由経済を修正する立場から、「契約自由の原則」を制約する規制もなされています。
特に契約交渉能力の乏しい立場にある消費者や労働者の保護を図る規定は、それぞれ「消費者法」や「労働法」と呼ばれ、独自の法体系が出来上がっています。

民法改正の影響の有無

民法改正により、「契約自由の原則」が明文化されました(民法521条、522条)。
「契約自由の原則」は、明文化される前から確立した法理であったため、特別な影響はありません。

判例と学説

「期間20年、転貸自由、賃料を3年毎に10%増額する旨の賃料自動増額特約のある建物賃貸借契約(サブリース契約)について、賃料減額請求権の適用が認められた事例」について、東京地裁平成10年2月26日判例時報1661号102頁。

契約書を作成する上での注意点

契約自由の原則からは、どのような契約を結ぶか、どのような契約書を作成するかは当事者の自由意思に委ねられることとなります。
また、そもそも契約書を要しない「不要式契約」が原則として許容されているため、口頭の合意だけでも契約が成立することが原則となります。
しかし、契約が成立したかどうかが問題となった場合や契約内容が問題になった場合など、契約書を作成することで当事者が合意した内容が確定し、成立していることを証明することができるようになります。
このことからすると、契約自由の原則があるとしても契約書を作成する必要性は否定されず、却って契約の自由性が高いために契約書という形に残るものが必要になると考えることができます。