定義
「未成年者」とは、20歳未満の者のことをいいます。(令和4年(2022年)4月からは、18歳未満に引き下げられます。)
要件と効果
未成年者は、単独で確定的に有効な法律行為を行うことができません。よって、法律行為を行う場合は、必ず法定代理人(一般に、未成年者の法定代理人は親権者)の同意を得る必要があります。
法定代理人の同意なく行われた法律行為は、取り消される可能性があります。取り消された場合はその法律行為ははじめから無効であったものとされます。
関連条文
民法第4条、第5条、第6条
説明
「未成年者の法律行為」に関する規定は、まだ十分な判断能力が備わっていない未成年者が自らの法律行為によって不利益を被らないように保護するための規定です。この規定により、未成年者は単独で有効な法律行為を行うことができないように制限されています(制限行為能力者)。
よって、第一に、未成年者が法律行為を行う場合はその法定代理人の同意が必要です。
ただし、単に権利を得、又は義務を免れる場合(例えば、無償でおこづかいをもらう場合など)は、法定代理人の同意は必要ありません。
次に、もし、未成年者が法定代理人の同意なく単独で法律行為を行った場合、その法律行為は、取り消すことができます。
取り消された場合、その法律行為によって現に利益を受けている限度において、利益を返還する義務(原状回復義務)を負うことになります。
「現に利益を受けている限度」とは、返還を求められたときに手元に残っている限度で、という意味です。
さらに、法定代理人が処分を許した財産は、(目的が定められている場合は、その目的の範囲内で)未成年者が自由に処分することができます(例えば、教科書を買うために渡されたお金で教科書を買う行為など)。
また、営業を行うことを許可された未成年者は、成年者と同じようにその営業に関する法律行為を単独で行うことができます。
つまり、営業を許された未成年者はその営業に関しては上記に記したような保護を受けることはできなくなります。
ただし、何らかの理由によってその営業ができなくなった場合、法定代理人はその未成年者に対する営業の許可を取り消すことができます。
民法改正の影響の有無
民法改正前は、未成年者は20歳未満の者とされていましたが、18歳未満の者に引き下げられます。
そのため、ゲームやサイトなどの利用規約において、未成年者=20歳未満という前提で、「20歳未満の方が利用する場合は、保護者の同意を得た場合のみ利用可能です。」などと記載されている場合は見直す必要があります。
判例と学説
茨木簡裁昭和 60 年 12月20日判決
契約書を作成する上での注意点
未成年者と契約を結ぶ際は、その契約が取り消される可能性があるということを知っておく必要があります。
そのリスクを避けるためにも、まずは法定代理人の同意があるかどうかを書面など目に見える形で確認しておくことが重要です。
また、万が一、契約が取り消された場合、未成年者に渡したものを返還してもらうことが難しい場合もあります。
よって、未成年者である可能性がある場合は、まずは健康保険証などで年齢を確認しましょう。
また、インターネット上で契約を行うような場合には、相手の姿形がわからないため、実際に未成年者であるかどうかは判別がつかないことが大半です。
この場合に健康保険証等の提示を求めるのが難しい場合も多々あります。
そのようなときには、未成年者として取消しを求められた場合にいかにリスクを少なくできるかを考え、利用規約等を作成する必要があります。