投稿日:2020年05月25日

「法律行為」とは

定義

「法律行為」とは、意思表示によって構成される、一定の法律効果を発生させる行為のことを
いいます。

要件と効果

「法律行為」はその成立に必要な意思表示の個数やその内容によって、
(1)契約 
(2)単独行為 
(3)合同行為 
の3つに区別されます。

(1)の場合、契約が成立し、それに基づく法律効果が生じるには、内容が相互に対立している複数の意思表示が必要です。
(2)の場合、単独行為が成立し、それに基づく法律効果が生じるには、ある人ひとりの意思表示が行われることによって直ちに成立する法律行為です。
(3)の場合、合同行為が成立し、それに基づく法律効果が生じるには、内容の共通する複数の意思表示が必要です。

関連条文

民法第90~98条、521条、522条

説明

「法律行為」を定義する明文はありませんが、意思表示によって構成される、一定の法律効果を発生させる行為という概念をいいます。

三つに区別される法律行為はいずれも、成立するためには意思表示が必要となり、それに基づいて法律効果が生じます。
そのため、法律行為を有効に行うためにはその当事者が意思能力を有していることが前提となります。

(1)の契約について、例えば売買契約の場合、売り手の「売りたい」という意思表示と買い手の「買いたい」という意思表示(内容が相互に対立している複数の意思表示)の合致によって売買契約が成立します。

(2)の単独行為については、例えば未成年者が単独で行った法律行為についてその父親が取消しの意思表示(ある人ひとりの意思表示)がされたとき、その契約ははじめから無効であったものとみなされます。
このとき、父親による取消しの意思表示のことを単独行為といいます。
遺言を作成することなどもこの単独行為に含まれます。

(3)の合同行為については、ある法人を複数人で設立する場合などをいいます。

民法は、私人は原則としていつでもだれとでも自由に法律行為をすることができるとしていますが、例外として、[1]意思表示が適切に行われていないと認められる場合 [2]当事者に行われた法律行為の効果をそのまま認めるのが望ましくないとされる一定の場合 については別の規定(心裡留保、虚偽表示、錯誤、詐欺又は脅迫、公の秩序又は善良の風俗に反する場合など)を設けてその効果を制限又は修正するものとしています。

民法改正の影響の有無

民法改正の影響は特にありません。
但し、一部の法律行為については、これまで明文として規定されていなかった部分を明文化したものもあります。

契約書を作成する上での注意点

「契約」は「法律行為」の一つです。
典型的には2者、場合によって3者以上の複数の者による意思表示が合致して成立します。
契約の際は、契約書により複数の者の意思表示の内容を記載することで、お互いの意思表示の内容が明確となり、後からトラブルに発展することを回避します。
このため万が一、契約に関してトラブルになった場合には、契約書に記載してあることが証拠になるという効果があります。